研究課題/領域番号 |
24520088
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高橋 文博 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (70116474)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 西村茂樹 / 西洋書翻訳 / 原書調査 / 翻刻 / 近代日本思想 / 洋学 |
研究概要 |
本研究の目的は、西村茂樹による未公刊の西洋書翻訳を調査検討し、近代日本における洋学の性格を明らかにすることである。そのため、主に稿本として残されている西村による西洋書翻訳を収集し、その翻訳のあり方のなかに、西村における西洋近代思想の受容の特質を捉えようとするものである。稿本の形で残されている翻訳すべてを翻刻し、インターネット上で公開しようと目論んでいた。 平成24年度は、主に、西村の西洋書翻訳の調査収集を行った。当初の見込みと異なり、『日本弘道会百十年史』に所載の国立国会図書館所蔵の西洋書翻訳は、大半がデジタル化されており、国立国会図書館での実地調査の必要は大幅に減少した。国立国会図書館でデジタル化されている西洋書翻訳の大部分を、研究室でダウンロードすることができた。 そこで、西村の西洋諸翻訳の一つ亜勒山得便著『心學及道學』について翻刻と原書調査を試みた。翻訳原書の探求は比較的たやすく、また、原書の著者であるAlexander Bain 1818-1903についても、十八世紀後半のイギリス心理学界に持続的な影響を及ぼした重要な人物であること、さらに明治前半期の日本で彼の書物が多く翻訳されていることが明らかになった。本書については、解題を付して、web上にに公開する用意ができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
西村茂樹の西洋書翻訳資料の大半が国立国会図書館でデジタル化されており、それをダウンロードするで入手できたことは、研究作業の上で大いに有利に作用した。これは、計画時点ではは明らかになっておらず、国立国会図書館の実地調査の中で明らかになったことであり、想定外の幸運であった。ところが、他方、わずか一冊の翻刻に大分時間のかかることは、これも予想外のことであり、研究計画にとって不利な事情である。 資料の入手が大きくはかどった一方、翻刻が予想外に手間取ったことにより、計画はやや遅れたことになる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、未入手の西洋書翻訳を調査収集するとともに、翻訳原書およびその著者の調査を行うとともに、翻訳の翻刻を行うこととする。未入手の西洋書翻訳は、国立国会図書館でデジタル化されていて館外で入手できないものについては直接出向いて複写依頼をするにどし、その他のものについては日本弘道会その他に赴いて調査収集する。翻訳自体の収集は量的に少ないので多くの時間と労力を要しない。 入手した翻訳の翻刻については、かなりの時間と労力を必要とするので、主要なものに限定し、アルバイトの筆耕に依頼した上、研究代表者が点検して完成することとする。 平成25年度の主要な課題は、翻訳の原書の調査・確定である。これについては、web上で大抵は可能な作業となっており、原書を調達することで可能となることもある。 なお、原書と翻訳部分とを大意使用する中で、西村における洋学の性格が明らかになるが、本年度は、一応、その端緒を得るにとどまることになろう。
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次年度の研究費の使用計画 |
翻刻のために予想外の労力を必要とすることが判明したため、アルバイトの人件費を当初予定から大幅に増額して、1100,000万円する。また、その翻刻作業に必要なアルバイトのためのパソコンが不足するので2台購入する費用として、プリンタも含めて、200,000円を計上する。 研究用図書費(和書・洋書)500,000円、調査旅費200,000円、資料をプリントアウトするための消耗品を300,000円とする。合計2300,000円を計画する。
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