研究課題/領域番号 |
24520097
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研究機関 | 公益財団法人中村元東方研究所 |
研究代表者 |
加藤 みち子 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (10306524)
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キーワード | 天道神社 / 天道念仏 / 天道 / 修験道 / 神仏習合 / 密教 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、神道と修験道および仏教の思想史的紊憲資料の収集・分析および、天道神社のフィールド調査を進めた。フィールド調査では、天道神社と、修験道、神道および仏教の関係について調査を進めた。調査地と調査期間は以下のとおりである。(1)静岡県伊豆半島南部、9/4-14 (2)福島県南部、11/22-25 (3)静岡県東部12/21-30(4)神奈川県西部1/31-2/3 (5)愛知県東部・静岡県西部、3/28-4/7 本年度の調査の具体的内容は、以下の四点である、①天道神社と天道念仏の関連を明らかにすること、②天道神社の所在地を調べること、③関連する諸行事に神事・仏事の動向とその意味を調査すること、④上記の調査情報と、思想史史料上の天道概念の関連を分析することである。 フィールド調査の結果、次第に見えてきたことは、天道神社の所在地と修験者の活動地の相互対応である。他方、思想史史料の分析によって、「天道」の神仏習合的用いられかたが、修験道の神仏習合思想と類似および関連しているということがうかびあがりつつある。修験道の神仏習合思想は、密教思想および民俗信仰をとりこんだ複雑な概念であり、中世日本における神道と密教の習合という思想史的現象を分析する必要があることが明らかになった。 以上の調査結果は「天道神社」における「天道」概念が、修験道と密接な関連を持つ可能性を示唆するものであり、重要な意味をもつものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は当初の予定通り、北関東および東海地区の調査を行ったが、特に東海地区の天道神社における神事・祭礼・来歴に修験道の思想や修験者の活動が関与していることが次第に明らかになりつつある。 他方、史料調査によって、修験道信仰と密教、修験道と民間信仰の諸行事が相互に影響し合っていること見えてきた。 つまり、研究計画において提示した項目のうち、関東・東海における天道神社の状況について次第に明らかになりつつあるという点では順調に進んでいるといってよい。しかし、対馬および北九州の調査に手を付けることができていない点で、調査の進み具合はやや遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、北関東および西日本の天道神社・天道念仏の調査を進めるとともに、研究計画e対馬の天道信仰および、dの韓国の天道大明神の調査に着手する予定である 。 また、並行して昨年度収集した資料の読解分析と進め、天道概念と諸宗教の連関について考察の概要をまとめていき、平成26年度、日本思想史学会、日本倫理学会等で、成果の一部を発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に予定されていた調査旅行の帰着日が、平成26年度に食い込んだため、未使用額が生じている。 平成26年度は、海外調査も含め、数度にわたる調査および学会発表のため、旅費の支出が大きくなる予定である。また、文献史料、翻訳ないし通訳謝金等も必要となる。
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