1860年代のフランス絵画をクールベ以後の「ポスト・レアリスム」という切り口から捉え、マネ、ファンタン=ラトゥール、ドガ、ルグロ、ホイッスラーの5人の画家たちに共通する美意識や造形手法を総合的に考察した。その結果、絵画の枠組みの意識化と作品の切断、画像のアッサンブラージュ、画中画や鏡の挿入、多様なマチエールの併用等々の特質が浮かび上がった。西洋絵画史における「近代的なタブローの生成」とも言うべき現象が出現したのがまさに1860年代のフランスであり、マネを中核とする「ポスト・レアリスト」たちがそれを担ったのである。
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