美学は20世紀末より、美学の語源がギリシア語で「感性」を意味する「アイステーシス」のうちにあることに基づいて、〈感性論的転回〉を遂げつつあるが、美学のこの〈感性論的転回〉は必ずしも美学史の豊かな再編成とは結びついておらず、そのため今までの美学理論の蓄積を十分活用した理論とはなっていない。本研究は、(1) 感性論としての西洋美学の歴史的・理論的再構築、(2) 近代日本における西洋美学の移入に伴う日本的美意識ないし芸術観の理論化の過程に認められる日本的感性論の歴史的・理論的再構成をとおして、美学史研究が同時に今日の美学の根本問題を構成しうることを示した。
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