研究概要 |
平成24年度は、大きくわけて以下の2つの調査を実施した。その結果、1)18世紀のセーヴル磁器製作所がマイセン磁器を意識して製作していたのに対して、19世紀の同製作所は、東洋陶磁にみる豊かな装飾表現を意識して製作していたこと、2)19世紀にセーヴルの化学者が進めた素地や釉薬に関する研究の成果は、当初はその国外流出が阻まれていたが、その成果を反映したセーヴルの作品が博覧会で展示されたり、セーヴルの技術者が諸外国の製作所に移籍したりなどして、諸外国の磁器製作にも大きな影響を与えたていたこと、3)19世紀セーヴルにおける技術開発は、東洋磁器から着想を得ている点のみならず、国際的な影響力を持っていた点でも重要であること、などの新知見を得ることができた。 【フランス国立セーヴル磁器製作所史料館における文献調査】 ・19世紀にセーヴル磁器製作所の所長を務めた人物(Brongniart, Regnault, Ebelmen, Robert, Lauth, Deck)、同製作所の化学者(Ebelmen, Salvetat, Regnault, Lauth)、同製作所の技術者(Auscher, Milet)、セーヴル陶磁美術館の学芸員(Riocreux)に関する資料(私信、公文書、新聞・雑誌の記事、研究報告書など)を閲覧した。 【フランス国立古文書館における文献調査】 ・1870年代のフランス公教育・宗教・美術省に関する資料の中のセーヴル国立磁器製作所に関する資料(公文書)、及び18世紀末のセーヴル磁器製作所に関する文献資料(勅令、手紙等)の一部(1895年の資料)を閲覧した[パリ館]。19世紀末から20世紀初頭にかけてのフランス公教育・宗教・美術省に関する資料のうち、セーヴル磁器製作所に関する文献資料(公文書)を閲覧した[ピエールフィッツ館]。
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