研究課題/領域番号 |
24520105
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
今井 祐子 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (00377467)
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キーワード | 美術史 / 陶磁史 / フランス文化史 / ジャポニスム / 日仏文化交流史 / 国際情報交換(フランス) |
研究概要 |
平成25年度は、前年度の調査で入手した文献の読み込みと取りまとめ作業を継続するとともに、フランスにて下記の調査を行った。その結果、1)18世紀末のセーヴル磁器製作所と王室建造物長官ダンジヴィレ伯爵との密接な関係、2)19世紀セーヴル磁器製作所における一連の技術開発(新硬質磁器素地・高火度焼成釉薬・パット・シュール・パット)の成果、3)1870年代、1880年代にセーヴル陶磁美術館が入手した日本陶磁器の多様性、などについて新知見を得ることができた。 【陶磁作品調査】 ・フランス国立セーブル陶磁美術館にて、19世紀後半に同美術館に寄贈された次の3つの日本陶磁器コレクションを調査。1)1878年のパリ万国博覧会の日本側事務局より1880年にセーヴル陶磁美術館へ寄贈されたコレクション(63点)、2)1880年に蜷川式胤からセーヴル陶磁美術館へ寄贈されたコレクション(15点)、3)1882年にフランス人収集家ヴィアルからセーヴル陶磁美術館へ寄贈されたコレクション(43点)。全作品について、法量・材質・技法・印銘の有無などを確認し、写真撮影を行った。 ・ウンターリンデン美術館(コルマール)にて、19世紀後半にパリで東洋美術商をしていたアルザス出身の女性ラングヴァイユ夫人に関する文献調査、及び同夫人が寄贈した日本陶磁器の調査。夫人の寄贈品の中に鍋島焼の皿が2点あったことを確認した。また、アルザス出身で1880年代にセーヴル磁器製作所所長を務めたテオドール・デックや20世紀初頭にウンターリンデン美術館所蔵となったセーヴル磁器に関する情報も入手した。 【文献調査】 ・フランス国立セーヴル磁器製作所史料館にて、19世紀後半に同製作所で考案された新しい装飾技法(パット・シュール・パット)に関する文献の調査。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度内に予定されていた2回の海外調査のうち1回を実施しなかったため、当初予定されていたパット=シュール=パット技法等を用いて製作された作品の種類と特色についての調査は十分に進んでいない。だが、前年度から継続している文献の読み込み作業は順調に進み、フランスにおける調査では今後の研究に有利にはたらく陶磁作品に関する調査を実施することができた。したがって、総体的には「おおむね順調に進展している」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
・次年度内に、これまでの調査から得られた研究成果の一部を論文の形で発表する。 ・次年度には、主に以下の点に関する文献調査を行う。 1)新硬質磁器素地、高火焼成釉薬、パット=シュール=パット技法を用いて製作された作品の種類と特色 2)上記1)に関する作品のうち、万博へ出品されたものについての同時代の評価 3)1889年パリ万博におけるセーヴル磁器製作所の展示の不成功、及び1900年パリ万博における同製作所の展示の成功の理由
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた2回の海外調査(9月、3月)のうちの1回(9月)を実施しなかったため。 次年度に実施する海外調査の旅費に組み込む。
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