本研究では、19世紀にセーヴル製作所が、装飾効果の高い作品を作るために、東洋陶磁、特に清朝時代の中国磁器を参考にして、装飾技法・素地(泥漿)・色釉・顔料の技術開発を行い、高火度焼成での色彩表現を拡大していたことを明らかにした。19世紀セーヴルの最大のイノベーションは、中国磁器と同様に1280℃で焼成でき、多彩な顔料や色釉と調和する新硬質磁器を開発したことである。装飾技法パット・シュル・パットも中国磁器の技法を参考にして考案されたが、その装飾文様に見られる東洋趣味では中国よりも日本を意識した創作が好まれた。
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