本研究では、戦後日本美術を代表する前衛美術グループである具体美術協会(略称:具体、1954-1972年)のリーダーであった吉原治良(1954-1972年)が、いかに海外の美術関係者と交流し、具体の活動を海外へと展開したか、その具体的過程と戦略の解明を試みた。成果として挙げられるのは第一に、大阪大学総合学術博物館寄託の具体関連資料および海外に保管されている具体関連資料のうち、書簡の簡易データベースを作成した点、第二に、海外の美術関係者も頻繁に訪れた具体の活動拠点であるグタイピナコテカについて、その意義と課題を考察した論文を執筆し、本論を含む書籍の発刊や展覧会の開催により成果を発表した点である。
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