本研究は、ヨアヒム・フォン・ザントラルトの『ドイツのアカデミー』(1675)とそれ以前のドイツ語圏文献において初期版画がどのように記述されているかを検証するものである。ザントラルトは、ジョルジョ・ヴァザーリの『芸術家列伝』(1568)での版画論に反駁し、版画芸術の発明はイタリア人ではなくドイツ人によるものであると具体的に主張した。ドイツ語圏では、16、17世紀のヤーコプ・ヴィンフェリンク、ヨハネス・ブツハッハ、ヨハン・フィシャルト、マティアス・クアトによる文献においても初期版画について記されていることなどから、ドイツ人が自国の芸術としての版画に強い関心と誇りを持っていたことが明らかになった。
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