研究課題/領域番号 |
24520120
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研究機関 | 京都造形芸術大学 |
研究代表者 |
林 洋子 京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (30340524)
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研究分担者 |
間瀬 幸江 宮城学院女子大学, 学芸学部, 准教授 (20339724)
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キーワード | 挿絵本 / 両大戦間 / パリ / 藤田嗣治 / 日仏文化交流 |
研究概要 |
研究第二年度となる平成25年度には前年度の研究成果と企画準備により、秋に一般公開の国際シンポジウム、その前後に関係者だけの研究会を催した。内容は以下のとおり。 国際シンポジウム「日仏の出版文化の出会い――幕末から両大戦間まで」(2013年9月21日、東京・日仏会館)内容:基調講演「1889-1939年のフランスの木版表現にみられる浮世絵の影響、そして出版」フィリップ・ル・ストウム、研究発表「19世紀における日本の出板文化」高木元、「和装本から洋装本へ――その試行錯誤と展開」岩切信一郎、「『団団珍聞』と『TOBAE』――小林清親とジョルジュ・ビゴー」清水勲、「ちりめん本と長谷川武次郎:明治半ばの欧文挿絵本出版状況」大塚奈奈絵、「藤田嗣治をめぐる、日仏出版文化の融合」林洋子、「ジャン=ガブリエル・ダラニエス――画家にして出版人」間瀬幸江 研究会1(2013年7月7日、東京・書棚770) 内容:基調講演「プログラム 日本の近代挿絵本の研究のための1」小林茂、蕗谷虹児の『人魚姫』」小田幸子、「丸善の書棚からみる西洋 日本橋からパリへ」向後恵理子、「『本出家』エッツエル ヴェルヌと編集者」石橋正孝 研究会2(2014年2月28日、東京・書棚770) 内容:「ダンヌンツィオ『西洋のうた』をめぐるテクストとイメージの再検討」尾崎有紀子、「19世紀後半のフランスにおける日本関連出版物――鳥というモティーフがになった役割」吉川順子、「プログラム 日本の近代挿絵本研究のための2」小林茂 当初予定していなかった研究会2は、シンポジウムを通じで痛感した19世紀後半の欧州での日本関連出版に関する内容を補完し、次年度の報告書への布石とした。一連のシンポジウムと研究会を通じて、出版内容や本の体裁における日仏間の「往還関係」が確認されたが、これについては次年度に刊行予定の報告書で十全にまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の最大の業務は9月に日仏会館で開催した国際シンポジウム「日仏の出版文化の出会い 幕末から両大戦間まで」であり、充実した発表と150名に近い聴衆を得ることができ、たいへん成功裏におわった。またその準備段階と反省の機会として、7月と2月に小研究会も開催できた。各発表内容も充実し、それぞれが報告書に向けての原稿を整備中で、順調である。 今年度は平成24年度の研究のアウトプットが中心となってしまい、若干、データベース構築作業が遅れがちであるが、最終年度である26年度に取り戻していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
三カ年の研究期間のなかで、対外的な最大の山場は第二年度の平成25年度の国際シンポジウムであり、こののちは報告書のとりまとめと刊行である。平成26年の5月中に掲載用原稿を各発表者が提出し、研究代表者(林)と分担者(間瀬)で原稿整理し、一冊の本に取りまとめていく。出版社も勉誠出版に決まっており、8月中をめどに序文とまとめを作成し、年内の出版を目指す。今年度の研究会開催経費を組んではいないが、途中必要になれば夏前に一度関係者集まり、編集会議をかねた研究会を行う。 当初から計画している藤田に関しての挿絵本情報収集は昨年度で完了しており、今年度中にジロドゥ関係のとりまとめを急ぐ。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に公益財団法人日仏会館と共同主催した国際シンポジウムにおいて、フランスから招聘した研究者(1名)について、会館が渡航費と宿泊費、さらに通訳費を負担してくださったため、当方で積算していた予算を節約することができた。 平成26年度は平成25年度の国際シンポジウムと平成24-25年度に行った研究会の成果を取りまとめる一年としていたが、平成25年度からの繰越金を受けて、1、2回程度の研究会を追加で開催することとした。今年度一回目は7月6日の予定である。国際シンポジウムでの議論や報告書用論文をとりまとめるなかで生じたあらたな視点や疑問について、研究者を招聘して議論を深めたい。その中で次年度のあらたな科研費等研究費の申請へと準備を進めていく所存である。
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