研究課題/領域番号 |
24520121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都造形芸術大学 |
研究代表者 |
三上 美和 京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (90531640)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細川護立 / 美術コレクター / 美術のパトロン / 中国陶磁史 / 日本美術院 / 白樺派 / 永青文庫 / 美術行政 |
研究概要 |
平成24度の研究は、細川護立に関する文献(自著、関連書)の収集、整理と、それに基いた年譜の作成、護立旧蔵美術作品リストの作成を行った。 細川護立関係文献の整理により、多様な角度からの豊富な情報を収集した。特に生前の関係者との対談、雑誌寄稿記事、当時の関係者による記事には、美術作品の蒐集状況、美術家との交流、美術史、陶磁史研究者と護立の実態を解明するための多くの情報が得られた。もちろんそれらの文献は後になって書かれたものも含まれているため検証は必要であるが、ひとまず可能な限りのデータを収集し、その後より厳密に検討することとしたい。また、文献調査から近代美術との関係で、護立旧蔵作品に関する個別研究が進んでいることがわかったため、そうした最新情報も盛り込んだ。旧蔵美術作品リストは、主要な作例はリストに挙げたつもりではあるが、未確認のものも多数あると思われるため、今後も可能な限り補足しつつ完成を試みる予定である。 以上、本年度は、従来の護立に関する資料のなかから、美術関係のものをできる限り集め、その分析によって護立の美術に関する活動の総体を捉える基礎資料の作成を行った。これまで、美術における護立の影響力の大きさは既に指摘されてきたが、他分野にわたる活動を総合的に捉える試みはなされていない。ここに特に本年度の研究の重要な意義が認められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は護立旧蔵の近代美術品リストを年度内に完成させ、それと護立の設立した永青文庫の所蔵作品と照合させる予定であった。しかし、予定外に業務が多大だったことと、調査資料が多かったことから、資料の収集整理に予想外に時間がかかってしまった。作成したリストをより実証的なものにするため、できるだけ早い時期に照合を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度に引き続き、護立旧蔵美術品リストをより充実させるため、文献調査を継続する。 また、従来護立の美術に関する活動において重要と言われている中国陶磁収集に関する検証を行う。護立は豊富な人脈を駆使して世界各地を訪問し、陶磁器、美術品を収集している。それらの実態と影響についての検討を研究の中心とする。余裕があれば日本美術院関係の画家に対するパトロンについても検討する。さらに、華族という立場についても検討を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、研究の最終年次であるため、初年度から継続したリスト、年譜を完成させるとともに、昨年度中に扱えなかった分野(日本美術院、白樺派、美術行政)のうち、重要度の高いものから調査、検討を加える。
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