研究課題/領域番号 |
24520122
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都造形芸術大学 |
研究代表者 |
金子 典正 京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (50339644)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中国 / 四川省 / 中国早期仏像 |
研究概要 |
第一年次にあたる平成24年度の主な研究成果は以下の通りである。 当該年度の目標は長江上流域の早期仏像の調査研究であったため、平成24年8月9日から16日まで四川省成都市および周辺の関連遺跡の現地調査を行い、また年度を通じて調査地及び関連遺跡の文献調査を行った。 現地調査では四川大学芸術学院盧丁教授の協力を得て、まず成都市内の四川大学博物館、四川博物院、成都博物院、隋唐窯址博物館、重慶市の重慶三峡博物館などを調査。また四川独自の伝統文化の実地調査として同市内の史跡、都江堰市の関連遺跡を訪れた。各所では揺銭樹をはじめとする中国早期仏像に関する出土遺物や後漢時代の画像石の調査などを行った。加えて、眉山市の江口漢墓を訪れ、江口漢墓博物館館員の趙尚春氏の協力のもとで調査が行えたことは大きな収穫であった。同墓は現在南京博物院に所蔵される早期仏像があらわされた揺銭樹台座が出土した後漢墓であり、その揺銭樹台座が出土した当該崖墓を確認、また周辺に点在する崖墓を調査したことにより幾つかの新知見を得ることが出来た。そのため、平成25年度も継続して同墓の調査を行う予定である。さらに、四川大学教授及び四川師範大学芸術学院院長林木教授、四川大学芸術学院李晟副教授と面会する機会に恵まれ、今後の研究の方向性について多くの貴重な助言を頂くとともに、これまでの研究成果について評価を受けることができた。 24年度の研究成果としては、長江上流域の早期仏像および仏教受容の実態について、従来の指摘を上回る様々な出土遺物や墳墓美術を確認することが出来た。さらに資料の整理、それらの成立背景などについて考察を重ね、第二年次となる平成25年度も継続することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時に記載した第一年次の目標は長江上流域の中国早期仏像の調査研究であり、それに関する四川省成都市を中心とする現地調査はおおむね実施することができた。また年度の通じて文献調査も順調に行うことが出来た。とりわけ実地調査では、眉山市江口漢墓の調査でいくつかの新知見を得られたことは何よりの成果であった。ただし、当初の調査地に予定していた綿陽市博物館は未だ閉館中であり、また先方の事情によって陝西省城固県文物管理所などの調査を行うことが出来なかった。これらは次年度の調査予定地に含めたいと考えている。 調査結果の整理と考察のまとめは未だ途上だが、研究成果の発表に向けて準備を進めている。また、次年度の長江中下流域の早期仏像の研究への見通しを得ることが出来たため、本研究はおおむね順調に進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においても、交付申請時の計画通りに、出来るだけ多くの作例を実見して出土地を確認することに努め、それに関連する精緻な文献調査を継続する。 第二年次にあたる平成25年度の研究は、24年度の四川省の未踏査地の調査を遂行するとともに、調査済の眉山市の江口漢墓についても更なる研究の必要性から調査を継続する。また、計画した予定通りに長江中下流域の調査研究を行う。まず中流では、湖北省の湖北省博物館、武漢市博物館、鄂州市博物館を調査。さらに下流では、浙江省博物館、蘇州博物館、鎮江市博物館、およびこれらの各都市の関連遺跡の調査を予定している。さらに、当該地域から出土した中国早期仏像および関連資料を所蔵する北京市中国国家博物館、台北市故宮博物院、欧米の博物館などの調査研究も積極的に行いたい。最終年度にあたる平成26年度の調査研究も、当初の計画通りに、長江下流域の早期仏像の研究調査を実施し、それまでの調査と考察結果をまとめて研究発表を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、平成24年度の未使用額と次年度の交付額をあわせて約155万円であり、その使用計画は以下の通りである。 ①平成25年5月、7月、9月、平成26年1月頃の海外出張、および随時の文献調査、研究課題に関連する研究会への出席や展覧会などのための国内出張の諸費用。②平成24年度に購入予定だったノートPCとデジタルカメラを25年度に購入する(これまで自前の機器を使用していたが、更なる容量と高性能の機能が必要になったため)。③消耗品費。④図書の購入費。⑤その他の諸費用。これらを、それぞれ必要に応じた適切な金額で使用する。
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