本研究では長江流域で出土する後漢~三国時代に制作された中国早期仏像について個々の作例の調査研究を行い、さらに上流・中流・下流域に地域を分けて地域的・歴史的背景を踏まえて各地の早期仏像の成立と伝播ルートについて考察を行った。また従来等閑視されてきた出土墓の調査を行ったことにより、報告書には記されていない様々な現地の情報が得られ、その結果、後漢時代の作例が集中する四川省の上流域の早期仏像と、三国時代の作例が集中する中流域の湖北省武漢市周辺および下流域の江南各地の早期仏像との間には顕著な影響関係は認められないことが判明した。また、これによって伝播ルートの問題についても一定の見通しを得ることが出来た。
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