研究課題/領域番号 |
24520124
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
岩間 香 摂南大学, 外国語学部, 教授 (50258084)
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キーワード | 内裏 / 儀式 / 復古様式 / 土佐派 / 障壁画 |
研究概要 |
本研究は、近世中・後期における土佐家の画業の考察と再評価を目的とする。とくに光成から幕末の光清に至る土佐家歴代の画業について、内裏造営と朝儀への関与に着目し、禁裏での役割、勢力拡大の過程、障壁画と故実について考察する。そのために、①とくに高い官位を得た光芳の人脈と朝儀復興、②光貞の寛政度内裏における復古様式考証、③光孚から安政度内裏までを明らかにする。 現在までに①の資料である「桂宮日記」を宮内庁書陵部から入手し、デジタル化を完了し、解読を行っている。その結果、元文元年(1736)から明和元年(1764)における光芳の登場箇所を特定することができた。引き続き天明年間(1781~1789)までの資料を収集し、解読作業を進めている。②については寛政度内裏造営に関する裏松固禅の資料を「裏松家資料」から抽出し、解読を行った。「土佐派絵画資料」と合わせて検討することにより、昆明池障子における土佐光貞と固禅の関係を明らかにした。さらに他の事例についても明らかにしていく。③については光孚の内裏における障壁画のリストを作成した。制作の詳細については造営資料を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2012年から勤務先大学で役職についているが、学部改革をひかえて会議や出張が多く、研究時間が十分にとれなかった。2012年度は「桂宮日記」および内裏関連資料を入手し、解読して入力する予定であったが、宮内庁書陵部に出張して資料を探索する機会を作ることができなかった。2013年度は資料の収集を積極的に進め、「桂宮日記」の延宝~寛政年間の資料を収集することができた。さらに「土佐派絵画資料」や「裏松家資料」との関連付けを行う予定であったが、日記の解読作業に時間がかかり、十分な考察ができていない。結果、2012年度における遅れは回復したものの、全体的にはやや遅れを生じていることは否めない。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度は最終年度であるため、成果の発表と、公開に向けた資料の整理に重点をおく予定であったが、「桂宮日記」の解読が遅れているので、引き続き解読とパソコン入力を行う。とくに解読に時間を要するため、古文書の専門家に補助と確認を依頼し、入力については学生アルバイトに依頼する。また「裏松家資料」「土佐派絵画資料」相互の関連付けを行い、考察を進める。 さらにこれまで考察してきた内容をまとめ、学会誌・紀要に論文を投稿する。当初の研究目的①光芳の人脈と朝儀復興、②光貞の寛政度内裏における復古様式考証、③光孚から安政度内裏までの解明、のうち、とくに①と②について成果を発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
古文書の入力にアルバイトを使用する予定であったが、解読が進まず、入力にいたらなかった。また大学が多忙であるため、資料収集のための出張をする時間がとれなかった。 古文書の解読の手伝いを1人頼み、解読作業を急ぐ。 入力のアルバイトを2人頼み、入力を進める。
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