「天神在地縁起(在地説話)」(各地域、各天満宮に独自の縁起説話)に関わる造形作品についてデータの収集につとめた。 とくに、各地の天満宮に関わりをもった松浦武四郎の活動に着目して、その作成になる双六、「聖跡二十五霊社順拝雙六」について、天満宮の選択、図様の源泉等の観点から分析考察を試みた。また掛幅形式の天神縁起絵の未紹介作例として「京都・吉祥院天満宮十二幅本」について、その独自要素、図様の特質等を指摘して、同本が太宰府系縁起絵と弘安本系図様の複合的な作例であり、従来知られていない近世期における掛幅縁起絵の存在を示唆するものとの見解を得た。
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