本研究の課題は、古代ギリシアにおいて誕生した音階理論の背景を哲学の問題関心から探るものである。それは、明治初期以来受け容れられてきたドレミファソラシドなる近代洋楽の基盤となる七音音階の楽理上の正当性を論理的に確認することによってなされる。 その具体的な作業として、アリストクセノス『ハルモニア原論』を論理的に分析した。 それに加えて、プラトン、アリストテレスを初めとする他の関連する著名な著作家の上記のアリストクセノス書に続く関連文書の関連個所の論理的な分析をも果した。その結果、以下に見る通り、上記のアリストクセノス書に基づくプラトンの問題の主張の真意の推定を果たし、納得のゆく結論を得ることができた。
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