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2012 年度 実施状況報告書

野川流の地歌三味線についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520139
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京芸術大学

研究代表者

長谷川 慎  東京芸術大学, 音楽学部, 講師 (00466971)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード三味線 / 地歌 / 野川流
研究概要

平成24年度は、現存する個人所有を中心とした三味線の古楽器の調査、骨董店等で流通している古楽器の収集、三味線製作者へのインタビューおよび三味線製作者から受けた情報の整理、実演家の師匠筋の芸談や自身の経験についての情報収集、昭和初期以前のSP盤等に残っている録音を中心に調査を行った。
関西、東京を中心に行った演奏家所有の三味線の計測及び収集した古楽器の計測は40を超えるデータが集まった。同時に撥、駒についても野川流三味線で用いられていた「津山撥」と「台広駒」を数点収集することができた。
今回の調査で要となる皮張りの技術については、かつての野川流で行われていた「金栓水張り」の技法を京都の今井善一氏が行っていることから、氏にその方法を取材した。今年度は、まず野川流三味線の原型と考えられる柳川流三味線1挺を復原した。これにより柳川流三味線に野川流三味線で使われていた「台広駒」を使用し、野川流三味線で用いられていた津山撥を使って音を出してみたところ、皮の張り方が緩いことがわかり、当時、柳川流三味線から野川流三味線へと改良されるに当たっては皮張りの強さも考えられたという仮説が生まれた。皮については、職人への取材から近年の皮を取り巻く状況の厳しさから、当時の皮そのものに近いものを入手することは困難か不可能であるという結論を得た。
糸については、収集した明治期の三味線に付属していた当時ものの糸が数点入手できた。今後はこれらを参考として現代の糸で近いものを探していくことになる。現代では見ることにできない楽器に施される朱入れなどの仕上げ、特徴的な造形についても現物調査により整理ができた。今後は楽器製作者の協力を仰ぎそうした技術の復活を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の主たる目的は、1)楽器としてみた野川流の地歌三味線についての現物調査、2)当時の皮張りを用いての楽器の復原を通じて当時の音色の再現としている。
現物調査については江戸から昭和初期に制作された様々な個人所蔵の楽器と古楽器収集により40挺を超える現物調査ができている。
現在は入手困難な野川流三味線の付属品(駒、撥、糸)についても収集が進んでおり音色の再現に欠かせない皮についても楽器製作者の協力により復原の見込みがついている。
古い音源に残る野川流三味線を用いた演奏も収集が進んでいる。
おおむねとした理由は、野川流三味線と断定できる三味線の入手が数挺しかできていないこと、野川流三味線の伝承者であった演奏家の楽器について、存在は確認できているものの調査が行えていないことからこの評価とした。

今後の研究の推進方策

平成25年度は1年次に続く継続的なフィールドワークを実施する。具体的には、1年次実施の、三味線製作者への調査(三味線製作者へのインタビューおよび三味線製作者から受けた情報の整理。関西、関東、九州という地歌発展の中心となってきたエリアへのフィールドワーク)、および三味線についての調査(フィールドワークによって対象となる時代の三味線と付属品の収集と採寸)をおこなう。
次に1年次に実施した、演奏家へのインタビュー(師匠筋の芸談や自身の経験についての情報収集)、そして、録音に残っているかつての野川流三味線の音色についての調査(昭和初期以前のSP盤等に残っている録音を中心に調査)し、かつての野川流三味線による演奏から野川流の音色についての音色の定義を行う。
2年次のまとめとして、情報・意見交換の場として実演家の協力により地歌を中心としたコンサートを開催し、実演家や楽器製作者に発展的な研究のための示唆を得る。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は、楽器の復原にかかる費用を15万円、古楽器の収集に15万円、コンサート開催にかかる会場借り上げ費用を15万円、研究協力者への謝金として10万円、旅費として5万円を見込んでいる。

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公開日: 2014-07-24  

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