研究課題/領域番号 |
24520149
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
平野 千枝子 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20402018)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アメリカ / 環境 / 1970年代 |
研究概要 |
24年度の研究実施計画は主に、①1997年のジェネラリ・ファンデーションによるカタログをもとに、ゴードン・マッタ=クラーク・エステイト/デヴィッド・ツヴィルナー・ギャラリーでの素描の調査を行うこと、②マッタ=クラーク作品とアース・アートの関係を考察するためにアース・アート研究を概観すること、③マッタ=クラークの蔵書リストを手がかりに1970年代の思潮との関係について予備的研究を行うことであった。 ①について、ジェネラリ・ファンデーションのカタログをもとにデータベースを作成し、今後の調査の基礎として、出品歴、文献(作品図版掲載)など作品に付随する情報を収集・整理した。しかし、素描作品を管理する遺族(エステイト)の代理人であるツヴィルナー・ギャラリーからなかなか調査の許可が下りなかった。そのため計画を変更し、過去の自身の論文を翻訳した上で、作品管理者でマッタ=クラークの研究者でもあるジェサミン・フィオーレ氏、ツヴィルナー・ギャラリーでのマッタ=クラーク担当者であるルイーズ・ソレンセン氏と面会した。研究目的を説明し、作品調査を依頼した結果、25年度に作品を調査する許可を得たほか、研究上重要な情報を多く得ることができた。②については、ロサンゼルス現代美術館とハウス・デア・クンスト(ミュンヘン)の共同企画による初の美術館規模のアース・アート回顧展である『エンド・オブ・ジ・アース』が行われたので、カタログをもとに調書を作成し、ミュンヘン会場で貴重な映像を含む出品作品を調査した。合わせてアース・アート関連文献を収集し、アース・アートのなかでのマッタ=クラークの位置づけについて考察を進めることができた。③については、②の進展に伴って、今後それとの連関のなかで進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた素描作品の調査を延期せざるを得なかった。しかし、研究者・所蔵者との間に今後の調査の基礎となる関係を構築することができた。また、アース・アートの研究状況を把握したが、個々の作品を検討するには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、予定通りカナダ建築センターのアーカイブで蔵書の調査を行うとともに、初年度から延期したツヴィルナー・ギャラリーで素描の調査を行い、作品研究を進める。アース・アートに見られる自然/文化に対するさまざまな思想を理解し、マッタ=クラークの自然観の位置づけを考察する。また、研究の公表に向けて美術館等との研究交流を図っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
アース・アート作品についてひき続き書籍を収集し、研究を行う。次年度に予定していたモントリオールのマッタ=クラークのアーカイヴにおける蔵書調査および、初年度から繰り越したニューヨークのツヴィルナー・ギャラリーにおける素描の調査を、9月頃に、合わせて10日から2週間程度行う。
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