ゴードン・マッタ=クラークは都市のなかに放置された建物に入り込み、かつて住人をとり囲んでいた床や壁を切り取って新しい空間に変える行為を行った。こうした行為は、既存の建物から思いがけない新しい構造を生み出すとともに、人々がどのような空間に生きていたのか、それはなぜ廃墟となったのかを考えさせるものだった。 マッタ=クラークはこのような活動を始める前に、樹木を用いた作品を制作し、合わせて植物を大量に描いていたが、これらの建築に関する作品との関係は不明だった。本研究では、マッタ=クラークが、環境によって変化し、環境を変化させる樹木を、我々を取り囲む建築を考え直すときのモデルとした可能性を提起した。
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