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2013 年度 実施状況報告書

明治期から大正期における西洋音楽の独学の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520155
研究機関大阪大学

研究代表者

上野 正章  大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (00379215)

キーワード音楽 / 独学 / 新聞 / 通信販売 / 日本近代 / メディア / 独習
研究概要

本年度は文献研究を中心に研究を進めた。注目したのは、新聞広告、楽器の販売広告、絵葉書である。
まず、1.新聞広告について。取り上げたのは北海道の地方紙である。代表的な一紙に関して明治後期の音楽に関する新聞広告を収集して分析した。判明したのは、a.楽器の広告が一定のパターンをもって効果的に掲載されるということであった。また、b.外部資本による蓄音機の広告が頻出するということであった。新潟の地方紙においても多くの蓄音機の広告が見出されたことを考えるならば、当時の有力蓄音機商は、全国的な新聞広告を展開していたと予想される。また、総じて多くの音楽関連の情報が新聞を通じて容易く入手できる環境は、音楽の独学を進展させる助けになったのではないかと推察された。
次いで、2.楽器の広告について。本年度は総合通信販売目録、教育機材目録、百貨店の販売カタログを調査した。いずれのカタログにおいても楽器類を見出すことができ、楽器を広く全国に通信販売するシステムがすでに明治中期において確立していたことが判明した。
3.音楽に関連する絵葉書の収集と分析に取り組んだ。十分に数が集まったとは言えない状況ではあるが、描かれている図像から明治後期から大正期に人々が西洋音楽を楽しむ様相を観察することができた。また、これに関連して東京オペラシティで開催された「五線譜に描いた夢 日本近代音楽の150年」展を見学し、研究成果を公開する方法を検討した。
その他、大日本家庭音楽会の講義録(ヴァイオリン)及び、ハーモニカに関する独習書を読み込んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究の競合の判明という重大な問題が発生した。全国紙の調査と独習書に関する書誌作成を予定していたのだが、同種の研究が別に進められていることがわかったのである。安全を考え、全国紙の調査を北海道地域の地方紙の調査に振り替え、書誌作成を図録作成に変更した。
方向転換が早かったので、大幅な研究の遅れには至らなかった。また、絵葉書と楽器・蓄音機等の音楽関連商品の販売カタログの収集を順調に行うことができたので、図録を作成できる見通しは立った。
楽器を独習してその過程を詳細に記録して分析するという試みに関しては、文献調査・分析の仕事が大幅に増えたので、計画に遅れが生じた。また、関西地域における図書館調査に集中したために、山陰地方の図書館調査を十分に行うことができなかった。

今後の研究の推進方策

1.楽器を独習してその過程を詳細に記録し、これを分析するという研究が急務である。
2.山陰地域の図書館調査を至急実施し、結果を分析して、北海道と新潟の状況と比較する作業を進める。
3.並行して成果発表に取り組む。まず、ICTMの大会に応募が通ったので、ハーモニカの独習に関して英語による発信を試みる。また、前年度投稿して一定の評価を受けたのだが、考慮のうえで取り下げた論文を、リライトして再投稿する。
収集した図像資料を研究テーマにそって組織し、図録の形にまとめる。

次年度の研究費の使用計画

1.研究の競合が生じた結果、音楽の独学書に関する書誌を作ることができなくなった。また、全国紙に関する調査の遂行が難しくなった。
2.海外で研究発表を行うかわりに日本で開催される国際学会(ITCM)で成果発表を行うことにしたので、渡航費用が不要になった。
3.自身で複写作業を行ったために文献複写費のコストが削減された。
1.音楽の独学に関連した図録を作成する。また、資料購入を拡充する。
2.調査地点として北海道(札幌)を加える。
3.調査地点の増加にしたがって文献複写の分量の増加が見込まれるので、これに充当する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] How sound recording was integrated into the lesson of musical instruments? Focusing on the Dai-Nihon Katei Ongaku Kai

    • 著者名/発表者名
      上野正章
    • 学会等名
      ICTM
    • 発表場所
      Nara University of Education

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公開日: 2015-05-28  

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