研究課題/領域番号 |
24520156
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阪井 葉子 (三谷 葉子) 大阪大学, 文学研究科, 研究員 (50243142)
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キーワード | ポピュラー文化 / メディア社会 / 対抗文化 / 口承性 / 文化的マイノリティ / フォークリバイバル運動 / フォークフェスティバル / ワールドミュージック |
研究概要 |
研究代表者はドイツでの研究調査旅行において、テュービンゲン・フェスティバルの主催者だったエッカルト・ホラーのほかに、ドイツでもっとも古い国際的な民謡の祭典、オスナブリュックのInterfolk Folksong Festivalの主催者だったヴィリ・シュヴェンケンにも詳細なインタビューをおこなうことができた。シュヴェンケンは国内外の民俗音楽の現地録音のレコードを販売するAutogramm Recordsの運営も併せておこなっており、西ドイツを代表する独立系レコード会社plaene(創設者アルノ・クレンネには電話とメールを通じてインタビューをおこなった)と併せて、フォークフェスティバルとともに伝統歌謡復興運動の両輪をなしてきた民謡・民俗音楽のレコード販売の実態についても多くの知見を得ることができた。また、東ドイツの伝統歌謡復興運動において歌手・ジャーナリスト・フェスティバル主催者として活動してきたヴォルフガング・ラインへのインタビューを通じて、東ドイツの運動がフェスティバルと同時に聴衆を巻き込んでのワークショップを通じて発展してきたことがわかった。ドイツのフォークリバイバルにおける東方ユダヤ人の伝統音楽の役割については、多くの文献・音源を購入するとともに、この分野でも東方ユダヤ人の言語イディッシュ語で長年歌手活動をおこなっていたガビ・ボリンガーにインタビューを実施した。 連携研究者は、ウィーンの国立図書館とロマ・センターを訪れて調査をおこなったほか、ロマの音楽家にインタビューをおこない、ウィーンならびに周辺地域で展開されるロマ音楽の演奏の実態と、ロマの楽師による競演と情報交換の場としてのフェスティバルについて多くの知見を得た。 研究協力者は購入した音声・映像資料を詳細に検討していくなかで、これまでの映画音楽についての研究をさらに進めて出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も、インタビューならびに図書館・文書館での調査を通じて、フォークフェスティバルについての批評、解説、証言など、さらに多くの資料を得ることができた。とくに連携研究者は数年ぶりの現地調査で、格段の進歩を遂げることができている。研究代表者、連携研究者、研究協力者とも、繰り返しインタビューをおこない、その後もコンタクトを取り続けることのできる情報提供者をさらに増やしている。 伝統歌謡復興ならびにユダヤ人・ロマなどのマイノリティの音楽についての文献では、社会学的アプローチ(ディアスポラ研究など)のものを中心に購入することで、最新の研究動向に目を配ることができた。 一方で、研究代表者が年度の後半に体調を崩したため、連携研究者ならびに非関西圏在住のフォークリバイバル研究者、ポピュラー音楽研究者との研究交流がじゅうぶんできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には研究協力者がドイツ・ベルリンを中心に出張し、旧東ドイツのポピュラー音楽とそのフェスティバルについて文献ならびにインタビュー調査をおこなう。 研究代表者も引き続き文献調査(旧東ドイツ・ポピュラー音楽専門の文書館がベルンブルクにある)やインタビュー調査をおこない、まったく異なる体制・社会条件のもとに旧東ドイツのフォークリバイバルがどのように発展してきたかについての研究を進める。研究協力者の調査の成果と併せて、本課題の中心である西ドイツのリバイバル/フォークフェスティバルとの比較を進める。東西両ドイツのレコード産業とフォークリバイバル運動の関連についても引き続き調べる。 連携研究者はオーストリアにおけるロマの楽師の活動について、彼らの置かれた社会状況との関連も含めてみていくとともに、彼らの催す伝統音楽フェスティバルの特性について検討する。 日本国内の英語圏フォークリバイバル研究者、日本伝統音楽の復興やポピュラー音楽の研究者と協力してコロキウムやシンポジウムをおこない、研究情報の交換と発信に努める。 研究代表者、連携研究者、研究協力者とも、国内外での学会での研究発表、論文執筆を通じて、研究成果の発信をおこなっていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者が年度の後半に体調を崩し、連携研究者ほかフォークリバイバル運動の研究者を関西に招待する予定が狂い、国内旅費の支出がなくなったため。とくに年度終わりには大学へ出て行くこともできなかったため、研究協力者から依頼のあった物品の一部が購入できなかった。 前年度購入できなかった物品の購入はできるだけ早く済ませる。26年度分として請求した分と併せた助成金は、研究代表者と研究協力者が海外調査のための出張をおこなう予定であるため、海外旅費に大部分を充てる。引き続き、必要な文献・音声・映像資料の購入、また、調査に必要な機材などの購入をおこなう。連携研究者との研究情報交換やコロキウム開催のために国内旅費や謝金を支出する。
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