研究課題/領域番号 |
24520157
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
寺内 直子 神戸大学, その他の研究科, 教授 (10314452)
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キーワード | 雅楽 / 文化交流 / 伝統文化 / 移民 / 現代音楽 |
研究概要 |
本研究は、海外で実践される雅楽を、1)日本から行く演奏者による公演、ワークショップ、講義と、2)現地に滞在する日本人、日系人、その他による実践の二つに大別し、それぞれの場合における実践を、都市の規模、人種の構成、歴史、文化的背景を考慮しながら、演奏される雅楽の種類、演奏の仕方、担い手、演奏の脈絡など様々な観点から調査、分析するものである。 フィールドワーク作業として、研究2年目のH25年度は、まず、国内調査で、渡航型の実践者として、雅楽演奏団体の伶楽舍、および、伶楽舎メンバーの個人への聞き取りを、昨年に引き続き行った。具体的には、伶楽舎の6月と12月の国内の演奏会の取材を行った。 また、滞在型の事例の海外調査も行い、ハワイ大学の雅楽アンサンブルと、ドイツのケルン大学雅楽アンサンブルの調査を行った。ハワイ大学の雅楽の歴史は、すでに50年以上に及ぶが、当初からアンサンブルを指導して来られた社本氏へのインタビューから、ハワイの雅楽がすでに古典だけでなく、新作雅楽や、他楽器や他ジャンルとの協同作業によって、さまざまな形式へと発展していることがわかった。 一方、分析、まとめの作業としては、昨年行った、UCLA雅楽の基礎を築いたR. ガルフィアス氏へのインタビューをまとめ、論文として発行した。また、2014年2月の、雅楽器を使用した現代作品「輝夜姫」(石井真木作曲)のパリ・オペラ座講演の出演者へのインタビューも論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで、調査の順番は多少前後しているが、国内外のイベント、演奏会の取材、予定した団体、個人への取材ができている。ただし、タイミング的に、海外のイベントをやや優先させたため、国内団体への取材をもう少し充実させる必要がある。収集した資料の分析については、インタビューの書き起しとメモの整理も、計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は、国内の団体として、伶楽舎や、個人として活動する演奏家への聞き取りを引き続き行うが、同時に、セミプロ・アマチュアによって構成される民間の雅楽団体で聞き取りとして、日本雅楽会の調査を重点的に行う。 昨年行ったハワイ大学では、予想以上に雅楽がさまざまな形式で展開している様が見られ、今年もさらに継続して調査する必要が出て来た。9月頃に再度、フィールドワークを行う予定である。 その他、国内外で予定されている公演など、適宜フォーローしながら、演奏に関わる人々への取材を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品、旅費等の経費が予定より少なくなったのが理由。研究遂行はまったく問題なく行った。 少額ではあるが、来年度経費に組み込み、研究計画を遂行する。
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