研究課題/領域番号 |
24520165
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
山本 芳美 都留文科大学, 文学部, 教授 (50363883)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | イレズミ / 文化人類学 / 香港 / 英国 / 米国 / 日本人彫師 / 移民 / tattooist |
研究実績の概要 |
当該年度においては、台湾、カナダのトロント、アメリカのニューヨークにて文献研究をおこなった。全体で3週間程度滞在したこともあり、新聞や論文、雑誌記事など各種データベースなどで19世紀から20世紀初頭に海外に滞在した日本人彫師に関する資料を探すことができた。これ以上の資料調査は、現地の研究機関に所蔵されている19世紀以降に発行された新聞や雑誌の原本やマイクロ資料などを探すこととなる。今後も続く研究の第一段階として、幅広く各地の資料調査をおこない、どの地域に日本人彫師の滞在が集中しているかを確認するという研究課題はこの5年間で達せられたと判断した。 2016年はこれまでの研究活動を評価されて、国際交流基金シドニー事務所に招かれ、併設されているギャラリーとニューサウスウェールズ州立美術館で2回講演会をおこなった。この招聘を受けて、シドニー大学、州立図書館、ニューサウスウェールズ州立大学付属図書館で文献研究をおこなった。オーストラリアはボディアートが盛んであり、日本や欧米の研究機関にはない博物館で催された特別展の図録、彫師と客の施術中の写真などの資料を探すことができた。本年の初めに出版されたConvict tattoo(流刑者のイレズミ)を研究した書籍も入手できた。 新聞や雑誌の記事を整理した結果、19世紀末から1900年代に英米に滞在したYoshisuke Horitoyo, 香港の野間傳と40名あまりの彫師、シンガポールに滞在した20名あまりの彫師のほか、フィリピン、タイ、インドなどに日本人彫師の足跡をたどることができた。すでにインターネットマガジンから依頼された文章に、香港とニューヨークに関して言及したほか、香港についての報告を論文としてまとめた。1年の期間延長が認められたため、2017年度は報告書のほか、論文を書いて終了する予定にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5年間の研究をまとめるべく、1年間の延長をして最終報告書を2017年4月現在執筆中である。すでに新書1冊と論文1本を書いたほか、研究成果を還元する目的で、インターネットマガジンを中心に一般読者向けに、現在の研究の概略について言及した。報告書については、研究書として出版社からの出版を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、5年間の研究で得た資料を整理し、報告書ならびに論文を書くことに注力することとする。5月に北京、9月にパリで行われるタトゥーコンベンションを見学し、そこに集ってくる年配の彫師たちから過去の歴史についての聞き書きを試みたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
アルバイトに英文資料整理の補助を頼んでいたが、精神的なバランスを崩したため作業が進まず、謝金として用意していた30万円あまりの執行ができなかった。事情がすべて判明したのは年度末近かったため、仕方なく30万円を次年度使用額とした。
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次年度使用額の使用計画 |
主に報告書に使用する資料の翻訳・整理のアルバイトへの謝金に使用する予定である。
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