研究課題/領域番号 |
24520168
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
大西 秀紀 京都市立芸術大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60469111)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大衆芸能 / SPレコード / 78rpm / 蓄音器 / 蓄音機 / レコード会社 / 京都 |
研究実績の概要 |
当該年度はまずデータ入力作業をアルバイトに依頼し、東洋蓄音器の自社制作盤(オリエントレーベル)および複写盤(オリエント、カラトリ、八千代、ウグイスレーベル等)に関する目録データをまとめた。完全な版下の体裁にはまだ至っていないが、大正2年の第一回発売から大正8年12月に日本蓄音器商会に吸収されるまでの同社の自社制作盤のタイトルおよびレコード番号については、ほぼ網羅できたと考えられる。これにより同社のレコード会社としての業績を初めて評価できる状態になったといっても過言ではない。複写盤に関しては残念ながら未だその全貌は捉えてはいないが、判明したデータは総て公開したい。 本研究のもう一つのテーマとして、レコード盤の成分を分析・比較することによりメーカーの技術的系譜をたどり、その中に東洋蓄音器を位置付けるという件がある。これに関しても前記と同様にデータ入力作業をアルバイトに依頼し、34レーベル、計100枚のレコード盤の成分データを一覧できるようにした。 分析結果の報告は年度末に置くが、現在少なくとも今回の数倍の規模の調査が必要であったというのが実感である。 レコードの製造・販売は明治末から大正にかけて生まれた、それまでの日本にはなかった産業である。東洋蓄音器の設立状況を見ると、当時の京都の資産家の出資によっている部分が大きいことが分かる。ただその経営は常に不安定で、頻繁に会社役員が入れ替わり、最終的には日本蓄音器商会にその京都工場という形で吸収されてしまう。この経営の変遷については、これまでも数種の文献に大まかに記されているが、本研究では毎年の経営収支報告のデータを基にすることで、さらに詳細にその経営状態をたどることができた。この経営状態の流れと同社のディスコグラフィを関連づけることで、オリエントレコードの歴史をより立体的に見ることが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本来は当該年度が本研究課題についてまとめの年度であったが、大詰めの段階で社史に関する新たな情報を得た。それを研究成果に盛り込むため、補助事業期間の延長を願い出た次第である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に積み残した社史に関する調査を6月中に終え、8月末頃までに報告書原稿をまとめて年度末に備えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年10-11月に本研究の調査対象に関する新たな情報を得た。そのため更なる調査の必要が生じたため年度内の成果報告を見送り、補助事業期間を延長した。次年度使用額は報告書作成の経費が主である。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通り報告書の印刷、製本、送料等に充てる。
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