研究課題/領域番号 |
24520175
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
木村 建哉 成城大学, 文芸学部, 講師 (10313181)
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研究分担者 |
中村 秀之 立教大学, 現代心理学部, 教授 (00299025)
藤井 仁子 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (40350285)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 日本映画 / 撮影所システム / 日活 / ディレクターズ・カンパニー / アルゴ・プロジェクト / 1970年代 / 1980年代 / 1990年代 |
研究概要 |
スタッフ・インタビューに取り掛かる前に、主として1960年代の日活の制作状況について資料集の調査を行った。 その後伊地智啓氏(映画プロデューサー、元助監督)へのインタビューを2012年の10月と2013年の1月の計2回行った。 初回のインタビューでは、伊地智氏が入社した1960年から60年代末までの日活での撮影所システムの機能状況を、助監督として制作現場に加わった立場から御証言頂き、60年代の日本映画界の撮影所システムのある程度の共通点と、会社ごとのシステムの違いをある程度明らかに出来たと考える。また、1960年代後半の映画斜陽期の撮影所の状況についても貴重な証言が得られた。 第2回のインタビューでは、1960年代末から1970年代初頭の日活撮影所の状況について伺った。日活が倒産寸前に追い込まれる中での制作現場の状況、そして1971年の日活のロマンポルノ路線への転換という、日本映画史上、いや世界映画史上の大事件について、助監督からプロデューサーへと立場を変えながら制作現場で体験された様々な出来事や事情を詳細に語って頂き、これは1970年代におけるロマンポルノ下での日活にのみ可能だった撮影所システムの存続の具体的なあり方を検証する意味で極めて意義の大きなインタビューとなったと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
資料収集・調査に思いの外に時間が掛かったのに加えて、インタビューイーの伊地智啓氏の体調の問題があり(8月後半に椎間板ヘルニアで手術)、インタビューの開始が予定の7月中旬よりも大幅に遅れた10月中旬となり、また鹿児島からインタビューのために上京されるインタビューイーの手術後の体調を考慮してインタビューのペースを控え気味にしたため、年度内に4-5回行う予定であったインタビューを2度しか行うことが出来なかった。 伊地智氏のインタビューは、本研究計画の核を成すものであるため、それがある程度進み研究の方向性がはっきりするまでは、他のスタッフインタビューには取り掛からないこととしたため、この遅れはやむを得ないものであり、次年度以降の研究計画を見直すことで取り戻すことが十分出来る見込みである。 またこうした遅れのため、研究代表者及び分担者は今のところ研究成果を作品分析等の論文にまとめるに至っていないが、この点に関しても、伊地智啓氏のインタビューについては、研究代表者らによる解題とともに単行本にまとめたものを2014年度前半までには出版予定であり、論文についても、今年度中には成果の発表を開始できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
伊地智啓氏へのインタビューによって貴重な証言、新事実の発見が次々ともたらされているため、当初予定の3-4回のインタビューを計7-8回にほぼ倍増し、2013年度中に5-6回のインタビューを行う予定である。実は既に2013年度第1回(通算第3回のインタビュー)は4月下旬に行われ、次のインタビュースケジュールも6月下旬に決定済みである。当初計画では2014年度に行う予定だった1990年代以降のテレビとの共同制作に関するインタビューを、伊地智氏がこの分野でも日本のパイオニアの一人であるため、繰り上げて2013年度中に行い、時代的順序は前後するが、ディレクターズ・カンパニー等を中心とする1980年代の状況についての他の関係者へのインタビューは2014年度に行うこととする。 なお、当初計画外であるが、研究協力者の濱口竜介・冨樫森両監督の映画が2013年中に劇場公開されるため、これに合わせて、撮影所システムが完全に崩壊した後の映画制作状況について両監督にインタビューを行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
インタビューイーへの旅費や謝金の支出、テープ起こしや資料調査への謝金の支出、会議室の借用費用、資料代(書籍代・ヴィデオ代)、インタビュー調査用の機材のための物品費への支出、その他(フィルム・センター等での試写費用)等が中心となる。
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