研究課題/領域番号 |
24520178
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研究機関 | 文化学園大学 |
研究代表者 |
長沢 幸子 文化学園大学, 服装学部, 教授 (20261092)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ファッションイラストレーション / ファッションドローイング / ファッションデザイン画 / スタイル画 / モードデッサン / 水墨画 / 暈し塗り / スーパーフラット |
研究実績の概要 |
本研究課題の一環として新描法の開発を行った。 日本を代表するファッションイラストレーター・故 矢島 功が大学教授在任中(1996~2006)、同大学同研究室直属助教授として指導を受けた本研究代表者が確立した提案新描法「(ファッションイラストレーションにおける)スーパーグラデーション」の構成を以下に示す。1.人物の顔や被服の形態を写意的、すなわち心に浮かぶイメージの表現を重視した明確な線画で描く。この前提として、多くのデッサン、ドローイング等を行い、写実的に描ける力をつけた上で写意的に描くことが大切である。2.写実的な陰影法を脱却し、写意的、すなわち心に浮かぶイメージの表現を重視した暈し塗りを全体的に施す。水墨画描法を積極的に活用する。 提案新描法をまとめる端緒は、現代美術分野における「スーパーフラット」に触発されたことである。「スーパーフラット」とはルーツを日本画に持つ「輪郭線(線画)+平塗り」描法である。これに対し提案新描法「(ファッションイラストレーションにおける)スーパーグラデーション」は、ルーツを水墨画に持つ「輪郭線(線画)+(写意的な)暈し塗り」描法である。ファッションデザイン画従来技法である西洋水彩画の「暈し塗り」も勿論踏襲している。しかしながら西洋画は周知のとおり、ルネサンス期頃から、輪郭線を無くす方向へ発展した。無論一部には輪郭線の存在する分野と作品も存在するが、全体としては日本美術ほどには輪郭線が主となっていない傾向も周知のとおりである。一方、提案新描法は、輪郭線すなわち線画を重んじている。「スーパーフラット」という壮大な偉業には及ぶべくもないが、ここが「スーパーフラット」と対応する提案新描法「スーパーグラデーション」の原理である。 提案新描法「スーパーグラデーション」の本質は「線画による造形表現と、全体的に施した暈し塗りによるイメージ表現の両立」である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究のまとめとなる図書を出版する計画であったが、勤務先大学の業務の多忙および家庭の事情により、進行がやや遅れている。現在、図書の原稿執筆と出版準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究のまとめとなる図書の出版へ向けて原稿の執筆と出版の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
勤務先大学の業務の多忙などにより、計画していた図書の出版がやや遅れ、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究のまとめとなる図書の出版が次年度へずれ込み、図書の関係費用、業者委託料など、出版に関わる費用を次年度へ向けて確保し繰り越した。したがって、繰り越した次年度使用額全額と次年度支給額を合わせて図書の出版準備に使用する予定である。
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