研究課題/領域番号 |
24520185
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
児玉 竜一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10277783)
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キーワード | 歌舞伎 / 雑誌 / メディア / 演劇 |
研究概要 |
前年度に引き続いて、演劇雑誌の発掘と、整理を進めた。 現在、103タイトルの演劇雑誌について、電子化の整理検討と、目次の整理を進めている。最も代表的な演劇雑誌である「演芸画報」など、総索引がありながら総目次の作成されていない雑誌を優先的に取り上げる予定である。さらに、公共機関に所蔵が知られていない雑誌(「新舞台」など)も発掘することができた。これらを総合して、楽劇学会例会において、「歌舞伎雑誌の系譜」(3月4日)と題する研究発表を行い、明治以来の演劇雑誌の刊行と普及について、おおよその全貌を示すことができた。同発表では、1)鑑賞誌、2)研究・批評誌、3)グラフ誌、4)ファン雑誌、5)劇場広報誌、6)劇壇同人誌、に分類した独自の体系案を提示し、刊行時期・判型・写真頁の扱いなどを勘案した整理分類の試みを公表した。これらは、従来の歌舞伎を中心とした演劇雑誌研究を包括的に継承し、より多くのタイトルを分類整理しうる体系の樹立をめざすものと位置づけている。 雑誌記事に関わる研究としては、雑誌記載の一代記を参照して、知られざる女性芸能者「お狂言師」の活動について、AAS(Association for Asian Studies)のフィラデルフィア大会におけるテーブル「Women on the stage」で英語論文発表を行った。また、ニューヨーク市立図書館において発掘した未紹介のフィルムについて、演劇雑誌(「帝劇」「東宝」)と照らし合わせることで、フィルムの概要や意義を解明しうることを知り得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
演劇雑誌の発掘と整理については、おおむね順調に進展していると考えている。これらの中から、どのように効率的に目次をデータ入力してゆくかが、次なる課題になる。研究成果を利用した発信については、展示や図録作成、口頭発表、論文発表など、様々な形態が考えられ、いくつかについては、次年度にも具体的な計画を有している。
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今後の研究の推進方策 |
雑誌「新国劇」の全貌を初めて紹介する機会を、展示や図録において計画している。これをひとつのテストケースとして、今後、どのように雑誌の創刊から終刊までを紹介するか、宝塚歌劇の100年史(雑誌「歌劇」ほかの全表紙を図版紹介している)などの試みを参照しながら、試行することになろう。 各雑誌の総目次の統合については、データ入力の効率的な方法の模索とともに、今年度の最重要課題として推進してゆく予定である。どのように重点的なマンパワー配分を行い、将来の進展につなげてゆくか、模索することとなろう。
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