研究課題/領域番号 |
24520192
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
北野 圭介 立命館大学, 映像学部, 教授 (60303096)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 映像 / メディア / 映画 / 芸術 |
研究概要 |
主として、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジにおいて、欧州の現代映像理論についての調査と摂取にあたった。(当初予定はロンドン大学キングスカレッジであったが、ゴールドスミスカレッジの方が、より本研究プロジェクトの趣旨に近い研究活動をおこなっていることが判明したため変更された。) とりわけ、ドイツ語圏においてすすむハンス・ベルトゥングらの「イメージの人類学」およびジークフリード・ツェリンスキー「メディアの考古学」を中心とした英語圏における受容を調査し、また、それらの諸理論が映像を用いた芸術作品などを分析する際にどのように適用されているか、また作品自体がこれらの諸理論をどのように活用しているかについて、焦点をあて考察をすすめた。これらの諸理論が、いわゆる構造主義・ポスト構造主義に典型化されるような記号学な位置づけを通しての映像分析の限界をあきらかにするものであることを確認した。とともに、身体や情動といったこれまで等閑視されてきた側面についても、構造主義・ポスト構造主義はもとより直観主義的もしくは印象主義的な評価を越えて、アプローチできる点についても検討をおこなうことができた。 他方、これらの諸理論を、日本における映像作品、とくに日本映画についてどのように適用しうるかについても考察をすすめ、従来の日本映画研究とは異なる視点からの分析が可能であるとの結論をもつにいたった。 これについてゴールドスミスカレッジにおいて講演をおこなった。さらに、ロンドン大学バーベックカレッジにおいても講演をおこなった(2013年4月)。 また、成果発表として、日本映像学会(2013年6月)、アメリカ学会(2013年6月)において、発表をおこなう予定であり、さらにハーヴァード大学教養学部東アジア研究専攻においても発表(2013年11月)をおこなうことが予定されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
映像表現と可視性の関係について探る本研究プロジェクトにおいて、本年度は、他研究活動(本務校での学外研究)との連動も効果的におこなうことができ、一定程度の進捗をみることができた。 とりわけ、研究代表者が先に公にしている映像理論書『映像論序説』において論じていた映像と身体の関係性について、いわゆる構造主義・ポスト構造主義に典型化されるような記号学な位置づけを通しての映像分析の限界を越えて考察する視点を開拓することができたことは有意義であった。 具体的にはドイツ語圏においてすすむハンス・ベルトゥングらの「イメージの人類学」およびジークフリード・ツェリンスキー「メディアの考古学」を中心とした英語圏における理論摂取の調査は、これらの理論が我が国においていまだ一部においてしか接収されていない点を鑑みるとき、より充実した紹介と咀嚼に貢献しうる可能性を探ることができると思われる点でも収穫であったといえる。 とくに、「イメージの人類学」および「メディアの考古学」における諸理論、身体や情動といった、これまでは表現もしくは表象の水準で考察されてきた問題系について、記述面でも分析面でもより理論的にアプローチできる視点となりうるであろうと考えられるので、具体的な応用の仕方について考えることが、本プロジェクトにおいて今後の課題となると思われる。とりわけ、現代における映像を用いた芸術作品と日本における映像実践を対象にした、これら諸理論の適用可能性を探ることが課題である。
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今後の研究の推進方策 |
「イメージの人類学」および「メディアの考古学」における諸理論をさらに詳細に考察することが具体的な目標とされた。 とりわけ、身体や情動といった、これまでは表現もしくは表象の水準で考察されてきた問題系について、可視性との関係を軸に、記述面および分析面でのアプローチについて、より理論的に検討したい。 また、これら「イメージの人類学」および「メディアの考古学」はドイツ語圏で練り上げられてきた諸理論であるが、これらの諸理論が実際に交流もすすめているフランス語圏における映像に関する新しい理論的枠組み(ジャック・ランシエールやベルナール・スティグレールの仕事)の調査をすすめていきたい。 具体的な応用事例についても、現代における映像を用いた芸術作品と日本における映像実践という二つの対象を中心に、これら諸理論の適用可能性を探ることが課題である。 さらに、すでにロンドン大学ゴールドスミスカレッジのパシ・ヴァリハオ上級講師(senior lecturer)とは交流を深めレビュー等の依頼も継続する予定であるが、これをはじめ、同種の問題に関心をもつ国内外との研究者とのネットワークもより広げていくことを目指したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度(2013年度)は、主として次の点における調査研究が具体的な研究費執行の対象となる。 1)「イメージの人類学」および「メディアの考古学」に関する文献調査 2)フランス語圏における映像に関する新しい諸理論(ジャック・ランシエールやベルナール・スティグレールの仕事)に関する文献調査 3)各種映像を用いた作品の実地調査 4)欧米の研究者に対するレビュー 以上より、主として海外での(アメリカおよびヨーロッパ)実地調査が主となるので旅費により100万円程度が執行される予定である。
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