研究課題/領域番号 |
24520195
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
笹川 慶子 関西大学, 文学部, 准教授 (30339642)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 帝国キネマ演芸(帝キネ) / 映画産業 / 映画史 / 植民地 / アジア(ソウル) / 大阪 / 天活大阪 / 映画興行 |
研究概要 |
本年度は帝国キネマ演芸(帝キネ)がどのような会社であったのか、その知られざる活動を明らかにした。資料を収集し、整理、分析した成果は、以下の手順で発表した。まず2012年9月、大阪府さいかくホールで開催された市民講座『大阪と映画文化を考える』(コーディネータ:笹川慶子)にて「大阪の映画製作――帝国キネマ演芸を中心に」という題目で発表した。 次に2013年3月、『大阪に東洋1の撮影所があった頃-大正・昭和初期の映画文化を考える』に論文を掲載し、新たに発見した資料や未公開写真などを使いながら、より客観的な、新しい帝キネ像の提示を試みた。 また2013年3月、アメリカの学会であるSCMSとASSにて発表した。小唄映画『籠の鳥』などを例にあげながら、大正末期から昭和初期の日本映画史における大阪および帝キネの重要性を明らかにした。 さらに今回の調査研究の結果を広く世に問うべく、帝キネに関する記事を『産経新聞』に掲載した。従来の帝キネ像が偏見に満ちたものであること、帝キネの繁栄は大阪の繁栄と密接に結びついていたことを主張した。 最後に、植民地時代の朝鮮映画市場における帝キネの活動を調査分析し、『大阪都市遺産研究』(2013年3月)に発表した。朝鮮初の映画といわれる連鎖劇『義理的仇討』(1919年)の誕生に影響を与えるなど、朝鮮映画産業の発展と天活大阪(帝キネの前身)および帝キネとのかかわりの深さが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本国内の調査は、予定通りに進行している。ただし、海外における調査は、予定を変更した。変更した理由は、研究代表者が25年度の後半にアメリカに6か月間滞在する機会を得たため、作業の効率を考えてのことである。変更は以下の通り。 申請時の計画では、平成24年度はアメリカの調査を10日間、平成25年度はアメリカとアジア(ソウル)の調査を両方合わせて15日間で行う予定であった。 しかし、平成24年度の5月(採択後)、アメリカに6か月間滞在し研究できる機会を得ることとなった。そのため急遽計画を変更し、平成24年度はアジア(ソウル)の調査を行い、平成25年度にアメリカの調査をまとめて行うことにした。 したがって平成24年度は、変更した計画にしたがい、ソウルにて資料調査および収集を行った。その研究成果の一部は、すでに論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の前半は、国内の調査を計画通り進める。 まず、ほかの映画会社と帝キネとの関係を明らかにする。 次に、東京における帝キネの活動を調査し、その活動をほかの映画会社と比較することで、帝キネの特徴をより明確にする。 現時点までの調査研究の成果を研究会や学会などで発表する。 平成25年度の後半は、6か月間のアメリカ滞在を利用して、集中的に大学や研究機関の図書館を訪問し、アメリカにおける帝キネの活動を調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費使用計画は次のとおりである。 平成25年度の前半は、おもに関西および関東の研究機関、大学図書館、公共図書館などで調査を行うための交通費、宿泊費に使用する予定である。必要に応じて資料の購入、コピーなども行う。 平成25年度の後半は、おもにアメリカ国内の調査旅費として使用する予定。訪問先は、ロサンゼルスのいくつかの大学および研究機関、ワシントンの議会図書館、コロンビア大学、イエール大学などを予定している。必要に応じて資料の購入、コピーなども行う。 繰越金(506670円)が生じたのは、研究計画の変更にともなうものである。研究計画を変更した理由は、平成24年度の5月(採択後)、アメリカに6か月間滞在史研究できる機会を得ることとなったため、急遽計画を変更し、平成24年度にアメリカ調査の代わりにアジア(ソウル)の調査を行い、平成25年度にアジア(ソウル)調査の代わりにアメリカの調査をまとめて行うことにしたとこによる。
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