研究課題/領域番号 |
24520195
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
笹川 慶子 関西大学, 文学部, 准教授 (30339642)
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キーワード | 帝国キネマ演芸 / 映画産業 / 日本映画史 / 韓国映画史 / 大阪 / 映画館 / 在朝日本人 / 植民地 |
研究概要 |
本年度は、前年度に引き続き帝国キネマ演芸(帝キネ)の歴史を研究調査し、その成果を学会、マスメディア、そして海外の研究機関において発表した。 本年度の前半はまず、早稲田大学演劇博物館、東京国立近代美術館フィルムセンターなどの研究機関において帝キネに関する情報を調査収集した。次に、その調査結果をふまえて、前年度に論文発表した「京城における帝国キネマ演芸の興亡――朝鮮映画産業と帝国日本の映画興行」の内容を発展させ、日本映像学会第39回大会にて口頭発表をした。また、研究の成果を広く一般に発信すべく、『産経新聞』 2013年4月9日夕刊に「帝キネ――秘めた盛衰の真実」の記事を寄稿した。 本年度の後半は、ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所にて研究に従事しつつ、これまでの成果の一部をイエール大学東アジア協議会(Council on East Asian Studies at Yale University)およびカリフォルニア大学バークレー校日本研究所(Center for Japanese Studies at University of Californaia Berkeley)において講演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の科研採択後、ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所の客員研究員として平成25年度8月から半年間研究する機会を得た。そのため研究計画を変更し、平成24年度と25年度に計画していたアメリカ調査を平成25年度後半の在外研究中にまとめて行い、逆に、平成25年度に計画していたソウル調査を平成24年度後半に行うこととした。 平成24年度は計画通り、帝キネのソウル調査を行い、その成果を論文および口頭で発表した。そして平成25年度の在外研究中はアメリカにて帝キネの調査を行う予定であった。しかし渡航後、イエール大学東アジア協議会およびカリフォルニア大学バークレー校日本研究所にて英語で講演する機会を得た。これらの講演をこれまでの研究成果を海外に発信する好機と捉え、予定していた調査を中断し、講演の準備に努力した。 その結果、平成25年度に計画していた成果発表は国内1回だったのに対し、実際には国内1回および海外2回の発表を実行することができた。一方、中断した帝キネのアメリカ調査は平成26年度に持ち越されることになった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の前半は、帝キネが海外においてどのような活動をしたのかをアメリカのハーバード大学にて調査する。帰国後、収集した資料を整理、分析し、その結果を踏まえて、さらに十分な調査を行うべく再度アメリカに渡り、アメリカ議会図書館などの研究機関にて調査を行う。 平成26年度の後半は、3年間の研究の総括として、帝キネの活動全体を検証する。まずは収集した資料を整理し、帝キネが日本の国内外において一体どのように自らを位置づけようとしていたのかを分析する。それによって帝キネの歴史を世界の映画産業の動きのなかで捉えなおし、その特徴および存在意義を明らかにする。 本年度の研究成果は、前年度に引き続き、国内外の学会や研究会などにおいて積極的に発信していく。また、一般書籍の出版に向けた準備も行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は8月から半年間、ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所の客員研究員として研究する機会を得た。そのため科研の研究計画を急遽変更し、平成24年度と25年度に計画していたアメリカ調査を在外研究中の25年度にまとめて行い、逆に、平成25年度に計画していたソウル調査を前倒しで平成24年度に行うことにした。 ソウル調査は計画通り、平成24年度の後半に実行し、その成果を論文および口頭で発表した。ところが在外研究中、イエール大学とカリフォルニア大学バークレー校で本研究の成果を発信する機会を得た。そのため計画していたアメリカ調査を一時中断し、講演の準備に尽力した。その結果、アメリカにおける帝キネの調査は来年度も継続して行うことになり、平成24年度と25年度のアメリカ調査費用(外国旅費)が次年度に持ち越されることになった。 平成26年度の前半にアメリカにて帝キネの調査を行う予定である。また、収集したデータを整理するために学生アルバイトを起用する予定である。
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