本研究により、大阪最大の映画会社であった帝国キネマ演芸が、戦前期を代表する大映画会社のひとつであること、松竹など大正末期の新会社と同じ志を抱いて海外展開を図っていたこと、東日本と比べ西日本では絶大な人気を誇っていたこと、日本映画産業の近代化に大きな役割を果たしていたことがわかった。しかし同時に、これまでほとんど包括的に検証されてこなかった帝キネの活動の全体像を明らかにするには、大阪と西日本、あるいは日本、あるいはアジアや欧米を含むグローバルな視点から帝国キネマ演芸の活動を捉え直す必要があることもわかった。
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