研究課題/領域番号 |
24520210
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
西 一夫 信州大学, 教育学部, 教授 (20422701)
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研究分担者 |
小林 比出代 信州大学, 教育学部, 准教授 (10631187)
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キーワード | 書簡表現 / 空海 / 書儀・尺牘 / 敦煌文書 / 敦煌書儀 / 万葉集 / 表現受容 / 漢文学 |
研究概要 |
本研究課題は、三カ年からなる計画であり、25年度は第2年次にあたる。今年度の実施計画は①各種「語彙集成」の語彙抽出と「平安初期漢文書簡語彙集成」の校訂と語彙抽出、②「奈良朝書簡語彙集成」と「敦煌書儀語彙集成」との比較検討並びに「奈良朝書簡語彙集成」と「平安初期漢文書簡語彙集成」との比較検討、③第2年次までの研究成果の公開であった。 ①については、正倉院文書・出土木簡等と『萬葉集』を基礎資料として作業を継続した。また「『高野雑筆集』語彙集成」を基準として、新たに収集した最澄と円仁の書簡表現を加え、「平安初期漢文書簡語彙集成」作成のための本文校訂と語彙抽出をほぼ終了できた。 ②については、「奈良朝書簡語彙集成」と「敦煌書儀語彙集成II」との比較検討では、受容実態の枠組み把握を中心に検討をおこなった。加えて「奈良朝書簡語彙集成」と「平安初期漢文書簡語彙集成」との比較検討では、史的展開のありようを具体的表現に即して検証を行い、個人の書簡表現に見られる特質を把握できた。 ③については、国内の上代文学会7月例会にて1年半の研究成果の中間報告として口頭発表を行った。 なお、書簡語彙のデータベース作成については、大学院生・学部生の協力を得ながら基礎データ入力作業を継続している。これまでの継続的に実施してきた敦煌書儀・奈良朝書簡部分のデータについては、随時点検を行っている。また本年度から取り組んでいる平安初期の書簡語彙集成は、基礎データ整理と一部データの入力作業を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画の実施範囲をおおむね終了できている。語彙集成の作成・校訂作業は予定通り第2年次の範囲を終えている。また表現受容の研討及び特質解明については、「平安初期漢文書簡語彙集成」の作成がやや遅れているものの、全体の計画遂行に影響をあたえるものではない。成果発表についても国内学会での口頭発表を行い、現在は投稿準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は本研究最終年度にあたるため、研究課題の最終目的の一つである各種「語彙集成」の第2版の完成を目指す。これを駆使しながら表現受容の検討と特質の一端を解明し、書簡表現の史的展開を見通す。 これらの成果を国内・国際学会にて発表して原稿化の上で、成果を広く周知する。
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次年度の研究費の使用計画 |
関係資料購入に関わって、古書での購入を行った際、当初予定金額よりも低額であったことから、次年度使用額が生じてしまった。 平成26年度請求額は当初予定通り執行し、平成25年度未使用額については必要となった関係資料の購入費用に充てる。
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