研究課題/領域番号 |
24520217
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
樫原 修 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (50132064)
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研究分担者 |
下岡 友加 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (30548813)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 台湾愛国婦人 |
研究概要 |
平成24年度は、雑誌『台湾愛国婦人』の資料収集を中心とした研究を行った。当初からまとまった所蔵が確認されていた所は、日本では山武市歴史民俗資料館、台湾では国立中央図書館台湾分館であったが、本研究の申請と前後して、函館市中央図書館と高崎市の土屋文明記念文学館にも収蔵されていることが確認された。そこで、これらの館の調査を行い、資料の複写や撮影を行った。この他、台湾においては、国史館台湾文献館に寄託されていた半線文教基金会台湾文化資料館所蔵に係る未発見の巻を見出し、写真撮影することができた。 最近は図書館等の蔵書目録がウェブ上で公開されるようになってきているので、公開されているかぎりの日本と台湾の図書館等の「台湾愛国婦人」の所蔵状況はすべて確認した。その上で、目録の公開されていないアジア太平洋資料室等も調査し、所蔵の有無を確認した。以上のような調査の結果、現在のところ可能なかぎりの資料の収集と情報の確認を終え、『台湾愛国婦人』の資料的研究に関する基礎作業を終えることができた。 現在のところ未発見の巻はまだ多く、台湾での発見に期待したいところであるが、当該誌は、国民党政権初期には所持することが危険であったために廃棄されたということもあって、今後まとまって見つかる可能性は高くないともいえる。しかし、台湾の古文書等に関する権威である前国史館台湾文献館館長劉峯松氏や真理大学の張良澤教授らの教示によると、台湾の学会関係者が個人的に1,2冊持っている可能性はあるとのことなので、情報の提供を依頼した。当初の計画に記載した台湾在住の研究協力者に加えて、これらの人の協力を得られることになったことは、今後の研究の進展に役立つものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画としては、資料の所在調査と収集が中心的目的であったので、それは可能なかぎり実行できたと思う。すでに所蔵情報のあった図書館等の調査はすべて行えたし(1.2冊を所蔵する個人については未見のものが残る)、未発見の巻の探索も可能なかぎり行った。この過程で、上田正行氏の再録した目次に若干の誤りがあることも確認できた。そういうことで、最終的な目録作成の基礎固めができた。 また、台湾のこの分野に関する専門家の知遇を得ることができ、今後の発見につながる体制を構築できたことも成果の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は内容的な検討を開始するが、それとともに資料の収集を継続する。 内容の検討では、①総督府統治政策との関係性を明らかにする、②作家の全集未収録作品、著作目録・年譜未記載資料等の翻刻、などを中心に分析を行う。 資料の収集では、前年度に調査できなかったものの調査を行う他、調査漏れがないか確認し、それがあれば補充調査を行い、できるだけ完璧を期す。資料的な面では、今後の研究に資するため、できるだけ網羅的な情報が提供できるよう、最終年度の成果発表に向けて準備を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に、樫原は研究科長職をはずれる予定であったため、本研究にかなりの時間を使えるという見込みがあった。ところが、24年度前期も引き続き全学の重要な会議のメンバーとなったしまったため、見込みほどには研究に専念できなかった。また、資料の借覧料や協力謝金等も、先方の好意によって不要であったということもあった。 また、下岡友加は平成24年度前期に在外研究で台湾に滞在し、本科研の調査も行ったため、見込みほど外国旅費がかからなかったということもあった。 平成24年度も、後期にはかなり精力的に調査が行えたが、平成25年度以降も同様に実行できる見込みであり、残った調査の実行に注力したい。また、現在までに構築できた体制によって新資料が発見できた場合には、資料複写料や情報提供料が必要となることも考えられる。次年度使用予定の研究費はこれらに充当したい。
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