研究実施計画に記した通り、「I.淡路座旧蔵浄瑠璃本の調査・分析」「Ⅱ.淡路座興行記録(番付・古文書・チラシ・ポスター・新聞記事等)の調査・分析」「Ⅲ.淡路座上演記録資料(文字資料以外)の調査・分析」を並行して進めた。 Iについては、松茂町人形浄瑠璃資料館蔵の淡路座旧蔵『鎌倉三代記』床本の本文を調査し、早稲田大学演劇博物館所蔵の『鎌倉三代記』抜本等と比較して、本作の伝承について考察した。本作については、絵尽や実録など関連する諸資料の調査も同時に行い、作品論を発表するための準備を行った。 Ⅱについては、徳島県立文書館酒井家文書の淡路座興行記録を再調査し、「徳島県立文書館寄託「酒井家文書」の淡路座興行記録」(『演劇研究会会報』第41号、2015年5月刊行予定)としてまとめた。また津山郷土博物館、徳島市史編さん所等に所蔵している資料を新たに調査し、それらも含め、これまで蓄積してきた淡路座興行記録を整理して、科研費成果報告書『近世淡路座興行記録(稿)』(2015年3月)としてまとめた。 Ⅲについては、これまでデジタル化した淡路人形浄瑠璃資料館の写真(宗虎亮氏撮影)・映像資料(記録映画)を分析し、過去の淡路座の演出の把握に努めた。 以上とともに、作品復活に関する取り組みとして、『妹背山婦女庭訓』入鹿御殿の段の淡路独自の演出による復活公演(文化庁「文化遺産を活かした地域活性化事業」により公益財団法人淡路人形協会が平成27年2月14日実施。於・淡路人形座)に協力し、その上演台本と演出プランの作成を行った。
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