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2013 年度 実施状況報告書

野間宏「青年の環」の創作過程と「全体小説」論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520231
研究機関白百合女子大学

研究代表者

井上 隆史  白百合女子大学, 文学部, 教授 (10251381)

キーワード野間宏 / 三島由紀夫 / 武田泰淳 / 中村真一郎 / 全体小説 / 戦後文学 / 草稿
研究概要

①【神奈川近代文学館蔵の野間宏「青年の環」関連資料の調査・分析】「青年の環」の筋、シークエンス、登場人物、テーマ、作品世界の時空間などを詳細に分析した結果をデータベース化し、それに対応させる形で、文学館蔵「青年の環」関連資料(原稿、手入れ校正刷、草稿、創作ノート等)を分類、整理する作業を進行中である。その成果を踏まえ、野間宏という作家および「青年の環」という作品それ自体について、特色と問題性を位置づけ直すことを試みた(「近代の肖像‐野間宏」として「中外日報」に三回連載)。
②【全体小説という概念について】全体小説という考え方の理論的、思想的背景や文学史上の位置づけに関して、日本文学に限らず、広く世界文学的な観点から、詳細に検討した。これに関連して、研究代表者勤務先大学の大学院において、各ジャンルの専門研究者を広く学内から招く連続セミナー「全体と部分‐文学・思想・美術」を企画、実行し、現在その内容の単行本化を進めている(2014年内に刊行予定)。
③【昭和文学史上における全体小説論について】②と関連するが、特に昭和37年前後、日本の文壇、論壇で全体小説という概念が話題になり論究された事実について、その経緯、およびそこから導かれるを問題点を詳細に調査、検討、分析した(「昭和三十七年の全体小説論」として「中村真一郎手帖」に発表)。
④【関連作家について(三島由紀夫、武田泰淳など)】三島に関しては、全体小説的な性質を持つ「鏡子の家」について、その特色や文学史的意義を検討した(「『鏡子の家』論-「古き良き昭和」という幻影」として「三島由紀夫研究」に発表予定。校了済)ほか、国際シンポジウム等で関連事項について報告した。武田泰淳に関しては、やはり全体小説的な問題性を孕む評論「司馬遷」について、日本近代文学館蔵の手稿に基づく調査、分析を行った(「近代文学草稿原稿研究事典」に寄稿。刊期未定)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績概要に記した4項目のうち、①に関しては関連資料数が多いため、予定に比べて進展が遅れている。②③④については、当初の計画以上に進展している。

今後の研究の推進方策

①の調査、分析を重点的に進めてゆきたい。②③④に関しては、当初の計画以上の成果を達成しつつあるので、①の調査、分析を踏まえた研究を、より広い文脈において深く展開してゆくことができると考える。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 昭和三十七年の全体小説論2014

    • 著者名/発表者名
      井上隆史
    • 雑誌名

      中村真一郎手帖

      巻: 9 ページ: 19-34

  • [雑誌論文] 『鏡子の家』論-「古き良き昭和」という幻影2014

    • 著者名/発表者名
      井上隆史
    • 雑誌名

      三島由紀夫研究

      巻: 14 ページ: 2-23

  • [雑誌論文] 近代の肖像‐野間宏2013

    • 著者名/発表者名
      井上隆史
    • 雑誌名

      中外日報(5/2、5/7、5/9の三回連載)

      巻: 27844号-27846号 ページ: 1-3 (頁換算)

  • [学会発表] 国際シンポジウム「ダンヌンツィオに夢中だった頃」

    • 著者名/発表者名
      井上隆史
    • 学会等名
      東京大学大学院総合文化研究科・教養学部 駒場博物館
    • 発表場所
      東京大学
    • 招待講演
  • [図書] 全体と部分(仮題)2014

    • 著者名/発表者名
      井上隆史編
    • 総ページ数
      165(予定)
    • 出版者
      弘学社
  • [図書] 近代文学草稿原稿研究事典2014

    • 著者名/発表者名
      日本近代文学館編
    • 総ページ数
      500(予定)
    • 出版者
      八木書店

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公開日: 2015-05-28  

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