18世紀の前半期に集中して行われた琉球王府の編纂事業の特徴がよく表れているのは、和漢混淆体の地誌である『琉球国由来記』(1713年)の編纂から漢文体の地誌『琉球国旧記』(1731年)の編纂である。それは、単に文体の変化を意味しただけではなく、17世紀から本格的に導入された風水の枠組みによる琉球国の地理の再編成であり、家譜等が成立することにより祭祀の場が「歴史」の舞台として叙述されることでもあった。本研究は、両書の間で編纂されたと考えられる新たな資料『古事集』を分析することにより、それを明らかにした。
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