研究課題/領域番号 |
24520237
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
津田 博幸 和光大学, 表現学部, 教授 (80318708)
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キーワード | 仏典注釈 / 戒律経典 / 東アジア / 古代日本 |
研究概要 |
善珠『梵網経略抄』の本文校訂作業、善珠が同書に参照・引用した『梵網経』の先行注釈書の特定、引用元と引用文との異同の確認作業などを進めた。具体的には9回の研究会を開催し、『梵網経略抄』下巻の内「第十軽戒」までの戒律の規定とその注釈について上記作業を終えた。 『梵網経略抄』の本文校訂については、そもそも写本の数が限られていることから、むしろ同書が引用した先行注釈書の本文との対比作業が重要で、特に多くを依用する新羅僧の注釈書の校訂と本文対比を進めている。 いまだ『梵網経略抄』の全体的特質が把捉できたというところまでは至っていないが、以下のような点は明らかになりつつある。すなわち、善珠は主として新羅・太賢『梵網経古迹記』に多く依拠し、唐・法銑『梵網經菩薩戒疏』を依用する箇所もあることが昨年度明らかになったが、本年度はさらに新羅・義寂『菩薩戒本疏』の依用が明らかになった。また、善珠がそれらを引用しつつ随所に加えている改変の中に、戒律を厳しくしたり緩めたりという、きわめて重要な変更も含まれることがわかってきた。善珠の引用態度および独自説の特徴を明らかにするという本研究の目的において最重要の問題の核心に迫りつつある。 『梵網経略抄』から明らかになりつつ、善珠の注釈行為や注釈的思惟の特徴を踏まえ、そこから古代日本の文化・思想・文学の〈読み直し〉をするという、本研究の大きな目的については、研究会に参加している連携研究者・研究協力者により少しずつ進みつつある。たとえば、研究協力者・渡部亮一による口頭発表「「因論生論」が生むテキスト」(於・古代文学会、平成26年4月)はその成果の一部である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
難解な内容に対して、精密な諸本比較と意味づけが要求される作業のため、予想以上に時間がかかっている。 注釈という基礎作業の途上にあるため、よりマクロな古代日本の文化・思想・文学の〈読み直し〉作業に至っているメンバーは少ない。
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今後の研究の推進方策 |
校訂に参観すべき諸本の選択についてはほぼ固まってきたので、注釈作業自体のペースを挙げること、可能なら合宿などにより研究会の回数を増やすことが考えられる。 また、『梵網経略抄』には新羅仏教からの影響が顕著であることが明らかになってきたので、韓国での隣地研究も推進に資すると考えられる。
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