研究課題/領域番号 |
24520238
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高松 寿夫 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40287933)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 続日本紀 / 遣唐使 / 万葉集 / 山上憶良 |
研究概要 |
本研究の今年度の活動として計画した事業は、以下の4点であった。 1)『8世紀日本文筆集成』の編集 2)主要テキストの注釈 3)『8世紀日本漢語集成』の編集 4)近世『続紀』研究文献調査 「1」については、『続日本紀』記事より、時々の行政文書の引用部分を抜き出す作業を中心に行うことになっており、聖武朝までの抜き出しがほぼ完了した。「2」については、論文「大宝二年度遣唐使が日本の文筆にもたらしたもの」(『アジア遊学 日本における「文」と「ブンガク」』)において、慶雲3年正月12日勅書をメインにとりあげることで、当該の勅書の表現の注釈的分析を行った。この作業により、文武朝には『文館詞林』が日本に将来されていた可能性が高いことを指摘することができた。また、研究発表「山上憶良と読書―「沈痾自哀文」を中心に―」(美夫君志会例会)の準備をとおして、山上憶良「沈痾自哀文」(『万葉集』巻5)に、仏典由来の語句が多様されていることが確認でき、今後の8世紀文筆の分析に、新たな知見を得ることができた。「3」については、「1」の作業に連動させるかたちで、逐次的にピックアップの作業を試みている。「4」については、蓬左文庫、鶴舞中央図書館(以上、名古屋市)、京都府立総合資料館、国文学研究資料館(立川市)において、主に『続日本紀』版本への書き込みの調査を行った。国文学研究資料館では、同館所蔵のマイクロフィルム資料によって、『続日本紀』版本の悉皆調査を行い、全国の文庫・図書館における『続日本紀』版本への書き込みの概要を把握することができた。研究協力者との共同討議、意見交換も折に触れて行い、その成果の一部は、研究協力者よりの寄稿を仰ぎ、『早稲田大学日本古典籍研究所年報』第6号として公表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『8世紀日本文筆集成』の編集については、当初の予定に対して若干の遅れが認められるが、その他の事業については、ほぼ計画通りである。『8世紀日本文筆集成』の編集も、平成25年度中に遅れを取り戻すことは充分可能であると見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに推進して行く。今年度は若干の使い残し金が生じたが、1万円未満の金額であり、次年度の予算額に大きな変更が生じるわけではない。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の主な使途は、以下のとおりを予定している。 ・文献調査のための旅費。 ・資料複写代等のための印刷・製本代。 ・関連図書購入代。 ・資料整理等のアルバイト等の手数料。
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