研究課題/領域番号 |
24520238
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高松 寿夫 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40287933)
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キーワード | 続日本紀 / 懐風藻 / 遣唐使 / 万葉集 |
研究概要 |
当該年度に計画していた研究内容は、以下のとおりであった。 (1)『8世紀日本文筆集成』の編集(2)主要テキストの注釈(3)『8世紀日本漢語集成』の編集(4)近世『続紀』研究文献調査 それぞれの項目について、1年間の経緯と成果を記す。(1)については、順調に編集作業を進め、天平宝字7年までの入力を終えた。(2)については、『懐風藻』所収の大友皇子作「述懐」詩を対象とした調査と考察を行った。少なからぬ新見が得られたが、特に「天訓」「真宰」の語については、従来の諸注とは異なる解釈を、新たな根拠とともに主張することができた。その成果は「大友皇子「述懐」詩読解」(『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第59輯)として論文化、公表した。また、『懐風藻』序についても調査と考察を行い、唐太宗期の文筆を受容した形跡が、きわめて顕著であることが新たに指摘できた。特に天智天皇の文学への意思を示したものとされる「調風化俗、莫尚於文、潤徳光身、孰先於学」の一節は、現在では『冊府元亀』巻157だけに記録される唐太宗の発言をそのまま利用したものであることは、重要な発見であったと思われる。のこの成果は、11月の萬葉学会大会で研究発表したが、論文化も終えており、現在、学会誌への掲載ぬむけて審査中である。(3)については、適宜対象となる語のピックアップを行っている。(4)については、早稲田大学図書館、奈良県総合図書情報センター等の資料を対象に行った。また、研究協力者による関連論考を、『早稲田大学日本古典籍研究所年報』第7号誌上に掲載することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って、概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進んでいる研究推進の現状のペースを維持し、最終年度として、当初の研究計画をまっとうさせるべく、油断なく事業を進めて行きたい。 具体的には、『8世紀日本文筆集成』、『8世紀日本漢語集成』の完成を期し、口頭の研究報告を済ませたものについては、その論文化をかはり、新たな対象についても、調査・検討を進めて行く所存である。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に研究補助の大学院生とともに調査旅行を行うため、それに見合う予算を確保することを勤め、かつほぼ予定通りの旅費を執行したが、やや残金が出た。会計処理がすべて終了し、残金の額が確定したのが年度の最末期であったこともあり、次年度に持ち越すこととした。 1,416円という金額なので、26年度内に充分執行できるものと思われる。
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