研究課題/領域番号 |
24520239
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
河野 貴美子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20386569)
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研究分担者 |
高松 寿夫 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40287933)
陣野 英則 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40339627)
新川 登亀男 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (50094066)
吉原 浩人 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80230796)
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キーワード | 国際研究者交流(中国) / 国際研究者交流(アメリカ) |
研究概要 |
本研究は、日本古代の漢文文献を通して、日本そして東アジアにいかなる文学世界が構築されていたか、またいかなる学術交流が展開していたかを考察し、それを文学・文化史上に正しく位置付け直すことを目指すものである。具体的な研究計画としては、以下の3項目を柱として研究活動を行った。 (1)渤海使関係詩の精読注解 早稲田大学日本古典籍研究所主催による「渤海詩研究会」を六回開催し(2013年4月21日、7月21日、9月23日、12月8日、2014年1月26日、3月2日)、『扶桑集』所収の渤海使関係詩を精読した(成果は『早稲田大学日本古典籍研究所年報』第7号に掲載)。また、京都大学附属図書館にて『扶桑集』の写本調査を行い、写真複写資料等を収集した。 (2)「文」の概念に関する研究 「文」の概念に関する新たな体系を構築、発信する専門書(『日本「文」学史をひらく』(仮題)、全3冊、勉誠出版)を刊行するため、企画立案を行った。そして、その第1冊『「文」の環境――「文学」以前』(仮題)の内容、項目について編集会議を重ね、2014年11月の刊行を目指し、準備を進めた。また、2014年5月31日、6月1日には、執筆者による編集ワークショップを開催するため、その準備を平行して行った。 (3)日本伝存漢籍に関する研究 早稲田大学日本古典籍研究所と中国・浙江工商大学東亜研究院との共催により、2013年9月14日~16日に杭州に於いて、「東アジア世界における筆談の研究」「西湖のイメージ―東アジアの名勝の誕生・流伝・移動―」をテーマとする国際シンポジウムを開催した。また、書物をはじめとする東アジアの文化交流について、個別に研究発表、論文発表を行った。また、2013年2月に開催したシンポジウム「文化の衝突と融合―東アジアの視点から―」の成果論文集(『アジア遊学』勉誠出版)を2014年度中に刊行すべく、準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に掲げた研究活動は、いずれも計画通りに当該年度内に実施でき、また、それぞれの研究活動において十分な成果を達成できている。 (1)渤海使関係詩の精読注解は、関係する詩作品をほぼ読み終え、その成果を単行の刊行物としてまとめるべく、最終的な確認、検討作業の段階へと進めてくることができた。 (2)「文」の概念に関する研究は、全三冊の『日本「文」学史をひらく』(仮題)の刊行計画を開始し、関連分野の研究者の協力を得ながら、第一冊目の編集作業にとりかかることができている。また、第二冊目以降の計画についても、内容を検討する編集会議を通じて、有意義な議論が展開できている。 (3)日本伝存漢籍に関する研究は、国際シンポジウムを開催し、また、その成果論文集の刊行にむけて計画が具体的に進行している。 以上、研究代表者、研究分担者及び海外共同研究者が協力して、実質的な研究活動を推し進め、関連の学界に対して発信していくことができる緊密な体制がとれている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、以下の3項目を研究活動の柱として研究活動を進めていく予定である。 (1)渤海使関係詩の精読注解 早稲田大学日本古典籍研究所主催による「渤海詩研究会」を年六回開催する。対象とするのは、これまでの研究会で取りあげた詩文作品のうち、注解の内容が公表できていないものを中心に、再度、注解の内容を検討し、最終稿を仕上げていく。その成果は、『早稲田大学日本古典籍研究所年報』第8号に掲載する。 (2)「文」の概念に関する研究 海外共同研究者であるWiebke Denecke ボストン大学准教授との連携のもと、研究の成果を『日本「文」学史をひらく』全三冊(仮題)としてまとめ、公刊すべく、準備を進める。まず2014年度は、その第一冊『「文」の環境――「文学」以前』(仮題)を刊行すべく、執筆者による編集ワークショップを開催し、新たな文学・文化史を発信する成果となるよう、研究、協議を進める。 (3)日本伝存漢籍に関する研究 2013年2月に開催したシンポジウム「文化の衝突と融合―東アジアの視点から―」の成果を論文集(『アジア遊学』勉誠出版)として刊行すべく、編集の作業を進める。また、2013年7月に開催した国際シンポジウム「東アジア世界における筆談の研究」「西湖のイメージ―東アジアの名勝の誕生・流伝・移動―」の成果を論文集として刊行すべく、準備を進める。また、日本伝存漢籍に関する調査、研究を進め、研究発表、論文発表を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度に、研究計画に関わる打合せ協議のための出張を予定していたが、メンバーの急病というやむを得ない事情により、出張をキャンセルした(3名、京都、2日間)。そのため、国内旅費として計上していた予算が残るかたちとなった。なお、打合せ協議は、その後、電話やメール、インターネット回線を通じての電話などを用いて、行うこととした。 2014年度は、「文」の概念をテーマとする2日間のワークショップを計画しており(5月31日、6月1日)、また、その成果刊行物の企画、出版に向けての打合せ協議が複数回必要である。そのために発生する旅費や会合費が多く必要となることが見込まれるため、その部分にあてて使用したい。
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