本年度は4年目であるが、昨年度からひきつづいて、尾張の加藤暁台を中心とする中興期俳諧の連句資料の収集ならびに本文の校訂作業を行った。満田達夫氏「蕪村と暁台―その連句作法をめぐって」(『連歌俳諧研究』66号)には、暁台の全連句の一覧が示され、歌仙形式主体で表六句をこえる長さを持つ連句を収集し、おもに蕪村連句との比較において初折の月の出どころと表の述懐について調査すべくリスト化がなされている。しかし、暁台の連句資料は、三十年の時を経て、かなりの半歌仙、歌仙を補うことができるようになった。この基準にそって考えたとき、このリストにのる九十九巻に、逸漁文庫(天理図書館綿屋文庫)の一連の連句資料、羅城巻子資料(仮題)、維駒暁台歌仙資料などの資料を加えることができる。この方針にもとづき、逸漁資料の書誌データの収集を行い、とくに、明和八年から安永三年、安永八年、天明元年、天明三年におよぶ連句資料の調査を行った。これらの詳細な書誌調査にともない、本文校訂ならびに、資料翻刻を進めた。同様に、伊勢の三浦樗良の連句資料についても、逸漁文庫の資料を中心に書誌調査を行い、一座する連句のリスト化と、連句テキストの本文校訂を行った。同時に翻刻の作業も進めた。なお、尾張・三河・伊勢俳壇の研究にかかわる調査として、岡崎市美術博物館の俳諧資料調査にもおもむき、某家の新収蔵の中興期・化政期の俳書コレクションの予備調査や連句資料の調査も行った。
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