研究課題/領域番号 |
24520247
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
中本 大 立命館大学, 文学部, 教授 (70273555)
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研究分担者 |
金 賛會 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 教授 (00331124)
二本松 泰子 長野県短期大学, 多文化コミュニケーション学科, 助教 (30449532)
山本 一 金沢大学, 学校教育系, 教授 (40158291)
中澤 克昭 長野工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (70332020)
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キーワード | 諏訪信仰 / 鷹書 / 日韓放鷹文化 |
研究概要 |
本研究課題を進める際の研究母体である鷹書研究会の例会を本年度は2回開催した(平成25年7月21日、平成26年3月17日、いずれの会場も長野県短期大学)。各例会では、研究分担者の中澤克昭と二本松泰子及び山本一が持明院家の鷹書や富山市立図書館所蔵の鷹書についての調査結果を報告し、その研究成果を共有した。 また、研究分担者の二本松泰子は伝承文学研究会平成25年度大会の公開シンポジウム「諏訪信仰と伝承文学」においてパネラーとして登壇し「鷹書からみた中世の諏訪」というテーマで報告した(平成25年9月7日、於長野県短期大学)。すなわち、諏訪円忠の子孫である貞通の鷹書類について取り上げ、それらに記載されている諏訪信仰がどのような特性を有するのかについて明らかにした。その成果は論文化してすでに公刊している。同じく二本松泰子は韓国の鷹書である『鷹鶻方』の諸本に関する調査を進め、日韓放鷹文化の比較研究の端緒を開いた。すなわち、李瑢編とされる『古本鷹鶻方』(15世紀成立)と李エン編とされる『新増鷹鶻方』(16世紀成立)の両書に引用されている魏彦深作の漢詩と我が国最古の鷹書とされる『新修鷹経』に見える漢詩文との比較検討を通して、鷹書に漢詩が記載されている意味について考察を進めた。その成果の一部は生き物文化誌学会第11回学術大会で発表した(平成25年7月7日、於星薬科大学)。このような日韓放鷹文化の比較研究は、当初の予定通り次年度以降の本研究の中心的課題としてゆく予定である。 そのほかにも、本研究課題の集大成として目指している鷹書類の注釈テキスト刊行に向けて、蒐集したテキスト類の本文翻刻やその記載内容のデータベース化を進める作業も進めることが出来た。これらは鷹書類から放鷹文化を多角的に理解するために必須の基礎情報であることから、今後も作業を続けてゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた韓国や秋田県での放鷹文化講演会の開催と当地の実地調査は実現できなかったが、韓国の鷹書類については【研究実績の概要】で述べたように同国の鷹書類に関する諸本の精査が進み、予定以上の成果をあげる事ができた。また、秋田県における鷹書類と鷹狩りについての調査は、同じく【研究実績の概要】で述べたように鷹書における諏訪信仰の特性に関する研究が進むことによって、諏訪流の鷹狩り伝播との関係から秋田地方における鷹狩りの実態が明らかになりつつある。実地調査こそ実現できなかったが、相応に研究成果が挙げられていると判じられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も2013年度完了予定であった資料調査を端緒に日本各地に埋もれている鷹書類の調査・発掘及びそのテキストとしての特性を明らかにする研究を継続的に進める予定である。更に2013年度催行の研究会での議論を踏まえた計画として「鷹」や「鷹狩」は画題としても本邦で盛んに取り上げられて来たことから、現存する絵画資料についても調査対象に加えることとし、許可が下り次第、京都大学博物館その他機関での集中的調査も予定している。 また、本邦放鷹文化の特異性や普遍性を考究するため、直接的な影響関係が想定される中国・韓国だけではなく、国外において現在、最も鷹狩りが盛んな中近東地域(アブダビなど)における実地調査も予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度開催予定であった放鷹文化講演会のために用意していた諸経費について、当該講演会が開催されなかったため。 今年度は放鷹文化講演会を開催することによって予定金額を執行する。具体的には、催行予定地決定のための候補地への調査旅費・講演会運営実費・講演でのゲストスピーカーへの謝礼、放鷹実演のための保存協会への謝礼等への充当を予定している。2014年度については、外国(中国・韓国・アラブ首長国連邦・チェコ共和国等)からのゲストスピーカー招聘を考慮中である。
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