わが国において、鷹狩りの実技がもっとも盛んに行われた中世から近世(12C~19C)において成立した鷹書の調査に取り組んだ。この時期の鷹狩りは、もっぱら武家によって実践されており、その主要な担い手として、将軍家や各地の大名家に仕えた鷹匠たちの存在が重要である。本研究では、そのような鷹匠の末裔諸家に伝来した文献類を取り上げ、その叙述内容の検討を通して当時の鷹狩りに関する新たな知見を得た。さらには、その成果を踏まえて、武家流放鷹文化の実相を明らかにすると同時に、それに伴う鷹書研究の適正な手法をある程度確立することができた。
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