近世の公家文化の研究には、公家文書の網羅的研究が必要である。研究代表者は国文学研究資料館の久世文書の悉皆調査に続いて、明治大学博物館の久世家文書を調査して、久世家文書の総合目録の作成をめざした。しかし文書の総体が膨大なために、作業は完了しなかった。中院通茂が久世通夏に授与した歌学の基本が、中院家の歌学によるものであることを、様々の資料から証明することができた。貴族階級の歌学は相互に影響し合っているので、公家の歌学の総合的な研究の必要性を再確認した。研究の一端は『中院通勝の研究』(2013)や「中院家の正月」(国文学論叢2016)などにより公表した。
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