本研究は、古今集的表現と一括される三代集の表現を、助詞・助動詞・構文・文章構成を観点として考察した。その成果として、以下の点をあげることができる。 第1に、古今集から後拾遺集および拾遺抄の文末語と句切れのデータベースを、私家版ながら作成し、和歌の表現研究を効率的に行えるようにした。第2に、初句切れの表現構成を明らかにした。第3に、文末「らむ」と句切れとから、倒置的表現による体言止めの歌の形成過程の一端を明らかにした。第4に、三代集各に特徴的な詠歌の場が、「疑問詞……らむ」の用法に差異をもたらすことを明らかにした。第5に、三代集の「……ものは……なりけり」構文の展開を明らかにする端緒を得た。
|