研究課題/領域番号 |
24520261
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
藤島 綾 国文学研究資料館, 研究部, 助教 (80599556)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 伊勢物語受容 / 伊勢物語絵 |
研究概要 |
本年度は、伊勢物語絵に関して、江戸時代に刊行された版本(おもに伊勢物語絵入り版本)の挿絵の収集と分類を行った。また、刊行物やインターネットを参照しつつ画像を含めた諸情報の入手にもつとめた。作業にあたっては、コンピューター1台とスキャナ1台を購入している。これらの作業は、国文学研究資料館が所蔵するマイクロフィルム・紙焼き・和古書を適宜参照しながら行ったが、その過程で、江戸時代後期の絵入り伊勢物語版本を対象とする「国文学研究資料館蔵『伊勢物語』絵入板本和古書マイクロフィルム解題(三)―享保~慶応―」を『調査研究報告』33号(国文学研究資料館文献資料調査部、2013.3.31)に執筆掲載した。同稿では、従来注目されていなかった伊勢物語挿絵についてその存在を指摘し、江戸時代後期の伊勢物語挿絵の多様性を示した。 また、女訓書を対象に伊勢物語関連の記事と挿絵の調査と抜粋を行った。これは江戸時代の女性の伊勢物語享受の実態と物語理解を明らかにすることを目的とするものだが、多様な資料群から伊勢物語絵を入手すべく、今後も継続する予定である。 上記の諸作業と平行して、伊勢物語絵の特定場面の描写に関して、絵入り版本挿絵とかるたの図様を比較し、両者の相違を指摘した上で、それが生じた背景について考察を加え、口頭発表を行った。この発表に際してはかるたの調査が必要となったため、次年度に予定していた調査および撮影の一部を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
江戸時代に刊行された伊勢物語絵入り版本の挿絵について、ほぼ予定どおりの調査を実施した。あわせて次年度実施予定の歌がるたの図様に関連する考察も行った。 本年度実施予定だった版本を対象とする調査のなかで、パロディ本等に関する調査は、当初予想よりも多くの時間を要することが判明したため、ひきつづき継続する。
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今後の研究の推進方策 |
書籍・工芸品を問わず、伊勢物語を題材とした絵画資料を調査し、撮影・複写が可能な資料については実施する。収集した資料を分類し、画中の構成要素を分析し、考察を加える。これら絵画と本文をとおして人々(読み手・鑑賞者などの享受者)がどのように物語場面を理解していたかを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
諸機関が所蔵する伊勢物語歌がるたについて調査を実施する。あわせて許可を得られた場合には写真撮影を行う。撮影した写真は現像して整理分類を行う。また、かるたに記載された本文の翻字を行う。 版本挿絵(女訓書・パロディ本等)に関する調査を継続する。 本年度は研究補助者による作業は準備にとどめたが、次年度は実施したい。
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