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2012 年度 実施状況報告書

二十世紀以降における希望の原理としてのユートピア言説と共同体の再創造/想像

研究課題

研究課題/領域番号 24520268
研究種目

基盤研究(C)

研究機関福島大学

研究代表者

川田 潤  福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (70323186)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードユートピア / 希望の原理 / 共同体 / ナショナリズム / 主体
研究概要

本研究は、二十世紀以降のユートピア言説を、希望の原理という観点から、共同体の再生という点に着目して考察することで、過去の概念として捉えられがちな、ユートピア言説の可能性を再検討することを目的としている。平成24年度は本研究のための基礎的資料の収集・整理をしつつ、これまでのユートピアに関する理論的基盤の見直しと整理を以下の三点から行なった。
(1)二十世紀以降のユートピアに関する一次資料の収集・整理を、従来、あまり注目されていなかった、アイルランドのユートピア表象、20世紀のフェミニズム的ユートピア作品なども含めて行った。その際、アイルランド独立運動時にさまざまな立場からのナショナリズムの問題とユートピア表象の関連性について注目した。また、フェミニズム的ユートピアの隆盛とその停滞についても確認を行った。
(2)二十世紀以降のユートピアに関する理論的整序を、とりわけ、現在のマルクス主義の理論の状況とその再評価という観点から行った。とりわけ、ブロッホの「希望の原理」を理論的基盤のひとつとするフレドリック・ジェイムソンのユートピアに関する理論に注目した。また、リチャード・ローティ、ポール・リクールについての理論的検討も行った。
(3)外部研究者からの専門知識の提供と議論に関しては、当初の予定では、研究会を開催する予定であったが、未実施であり、歴史学、フェミニズムに関して、メール等による情報交換に終わったが、平成25年度にむけての、歴史理論とのすりあわせに関する課題が浮かび上がった。
以上のような研究の結果、20世紀以降のユートピア思想が従来の空想的ユートピア、(旧)マルクス主義的なユートピアに限定されず、多様な哲学基盤と混じり合いつつ、今後の可能性を秘めたジャンルとして再構成されている過程を明らかにできた。今後は、この再構成されたユートピア言説をより詳細に検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

二十世紀以降のユートピア言説の可能性を再検討することを目的とした本研究において、本年度の計画は、(1)二十世紀以降のユートピアに関する一次資料の収集・整理、(2)二十世紀以降のユートピアに関する理論的整序、(3)外部からの専門知識の提供と議論という3点であった。上記の研究実績の概要に記述の通り、(1)については、アイルランド、フェミニズムなどの観点から収集の成果がった。だが、代表作の分析などについて若干遅れがある。(2)については、ほぼ予定通りの検討が終わっているが、心理学的な観点からの検討が遅れている。(3)については、研究会を開くことができず、具体的な作業が遅れている状態ではあるが、メール等による情報交換は行っている。
以上のような点から、「おおむね順調に進展している」との自己点検、評価を行った。

今後の研究の推進方策

今後においては、H25年度については、以下の3点から推進する計画である。
(1)ユートピア言説の理論およびテクストの読解についてより具体的な分析を進める。(2)文学以外の言説について(政治、経済、美術等)検討を行い、文学との関係性について分析を進める。(3)H24年度(1)(2)(3)およびH25年度の(1)(2)について、中間的な総括を行うために、研究会を開催する。
H26年においては、過去2年の成果をまとめる作業を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

各種ユートピア関連文書で60万円程度、資料収集のための国内外旅費で40万円程度、研究会および専門知識の提要で20万円程度、その他で10万円程度。
以上のような使用計画をたてている。

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公開日: 2014-07-24  

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