• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

マーカス・ガーヴェイとハーレム・ルネッサンスの黒人たち―その反目の裏と表

研究課題

研究課題/領域番号 24520269
研究機関茨城大学

研究代表者

君塚 淳一  茨城大学, 教育学部, 教授 (60259588)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワードマーカス・ガーヴェイ / ハーレム・ルネッサンス / W・E・B・デュボイス / 白人パトロン / B・T・ワシントン
研究実績の概要

2015年7月25日には「多民族研究学会」にて大会シンポジウムの発表を行う。タイトルはマーカス・ガーヴェイが師と仰ぎ多大な影響を受けたブッカ―・T・ワシントンで、晩年の民族意識と分離主義また民族教育は、ガーヴェイの主張に活かされている。
同年9月にはニューヨークへ資料収集の目的で訪れ、特にハーレム・ルネッサンス期の第一資料を集めた。
2016年3月25日には現在、南北戦争勃発のきっかけを作ったとも評価されながら、いまだに南部と北部では評価が二分する過激な奴隷制廃止運動家であり「地下鉄道」の活動家であるジョン・ブラウンに関する研究書『ジョン・ブラウンの屍を超えて』(金聖堂)を共編著として出版した。
同年3月31日には『多民族研究』第9号が刊行され、昨年の多民族研究学会(2015年7月25日)のシンポジウムの発表を論文として執筆した論文「Booker T. Washington再評価に見る「教育」「産業」「人種」-闘うより相手の懐に入り込み、油断させいすれは天下を取れ」が掲載された。
2015年9月にニューヨークで収集した資料をもとに、小林英美・中垣恒太郎共編著『読者ネットワークの拡大』(出版)より執筆依頼され、「1920年代ハーレム・ルネッサンスのアフリカ系アメリカ人作家たちと出版事情」を執筆した。ハーレム・ルネッサンス期のアフリカ系作家が著作を出した出版社が白人オーナーであったこと、また特に当時のアフリカ系女性作家たちの多くが白人女性パトロンの援助を受けていたことなどを資料を指摘した。これは白人との分離主義を標榜していたガーヴェイが当時のアフリカ系作家たちに批判されていた理由でもあることを証明したものである。この書の出版は緒事情により2016年秋の予定であるが、すでに原稿は入稿し初校済み。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ガーヴェイとの関係が深い人物や事項、ハーレム・ルネッサンス期の彼と反目をしていた人物やその背景については、研究は概ね進み、論文や研究発表または著書として発表している。その関係性をまとめる作業と、ガーヴェイ自身の著書のさらなる分析、またアメリカ合衆国の白人側の追及として1925年に彼を郵政法という別件で逮捕し、国外退去にさせた当時のフーバーの資料の収集とその関係の分析をもってまとめることができる。また可能であれば最後に彼がアメリカを去ったニューオリンズ港での資料もニューオリンズ大学にて収集すべきと考えている。

今後の研究の推進方策

(1)W・E・B・デュボイスとガーヴェイの反目のさらなる分析(2)B・T・ワシントンからガーヴェイへの民族主義の継承(3)ハーレム・ルネッサンス期においてアフリカ民族主義が共通していたのにもかかわらず彼がハーレム・ルネッサンス作家から排除された理由の検証(4)フーバーの資料の収集とガーヴェイ排除の介入(5)ガーヴェイに関するニューオリンズにての資料収集。上記の項目についてまとめ、報告書として執筆する。

次年度使用額が生じた理由

2014年度は海外における資料取集が不可能であり、そのため研究活動に遅延が生じ、計画通りに執筆や研究発表が進まなかったため、資料の購入費用と研究活動費用を使う機会が得られなかった。

次年度使用額の使用計画

ニューヨーク、ニューオリンズにおける資料収集。特にニューオリンズに関しては逮捕後から国外退去までのガーヴェイに関するアメリカ政府(フーバー)の関係とハーレム・ネッサンス時期のアフリカ系のつながりを探る資料を収集する。ニューヨークに関しては昨年同様にハーレム・ルネッサンス時代のアフリカ系作家とガーヴェイの関係に関する資料の収集。また学会における研究発表そして報告書作成に関わる資料整理の人件費と作成費用。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Booker T Washington再評価に見る教育、産業、人種2016

    • 著者名/発表者名
      君塚淳一
    • 雑誌名

      多民族研究

      巻: 9 ページ: 7-16

    • DOI

      ISBN-978-4-7647-1159-4

    • 査読あり
  • [学会発表] 自伝、日記、体験記―記録された体験を「現在」に接続する2016

    • 著者名/発表者名
      君塚淳一
    • 学会等名
      多民族研究学会
    • 発表場所
      国士舘大学世田谷キャンパス
    • 年月日
      2016-07-25
  • [図書] ジョン・ブラウンの屍を超えて2016

    • 著者名/発表者名
      君塚淳一、松本昇、高橋勤
    • 総ページ数
      356
    • 出版者
      金星堂
  • [図書] 読者ネットワークの拡大2016

    • 著者名/発表者名
      小林英美、中垣恒太郎編
    • 総ページ数
      250
    • 出版者
      鶴見書店

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi