研究課題/領域番号 |
24520272
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮本 陽一郎 筑波大学, 人文社会系, 教授 (30143340)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 冷戦 / メロドラマ / ネットワーク / トランスナショナル |
研究実績の概要 |
平成26年9月に合衆国議会図書館および合衆国公文書館で資料調査を行い、これに基づき次年度刊行予定の単著につき、ネットワーク文化論の観点から最終的な改稿を行い脱稿した。 第2次世界大戦中のプロパガンダ画家たちのトランスナショナルなネットワークについての予定していた調査は実現しなかったが、これまでの調査の結果を「戦争記録画の失われた歴史を求めて」として、10月13日に宮本三郎記念美術館で講演するとともに、現在印刷中の同美術館の年報に掲載した。 メロドラマ的想像力のネットワークについての研究は、「アメリカン・メロドラマ―ドラマトゥルギーとしての冷戦リベラリズム」としてまとめ、一橋大学紀要『言語社会』第9号の、故三浦玲一氏を追悼する特集号に掲載された。 アメリカ合衆国とキューバにおけるヘミングウェイ研究のネットワークについての研究成果は、アメリカのケント・ステート大学出版より論文集Hemingway, Cuba, and Cuban Works として刊行された。 大学院の授業では、履修者がすべて修士課程であることに鑑み、予定を変更し「ネットワークとしてのアメリカ文学史」をテーマとして、これまでの研究成果を講義としてまとめるとともに、理論的な基礎を講じた。履修者は中国人1名、韓国人1名、ドイツ人1名、日本人2名となり、トランスナショナルなアメリカ文学研究の新たな可能性を実感するものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
専攻長としての職務のため、海外調査に出ることが極めて困難になり、研究に十分な時間を確保することができなかった。しかしそうしたなかにあって本年度は、単著の完成を含め、研究において十分な成果を得ることができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
単著『アメリカン・メロドラマ――ドロマトゥルギーとしての冷戦』 の刊行に向けた最終作業を行い、この過程で資料の再調査の必要が生じた場合には海外調査を行う。合衆国陸軍資料センター(フォート・ベルヴォワ基地)におけるプロパガンダの画家のネットワークに関する調査も合わせて8月に実施する。 大学院の授業については、平成27年度は中国とウルグアイの学生が参加予定であり、トランスナショナルな視座から資本主義文化と対抗文化のグローバル・フローについて論じる。
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次年度使用額が生じた理由 |
専攻長・副研究科長としての職務上、長期にわたる海外渡航が不可能になり、また調査協力のため派遣を予定していた大学院生が論文執筆等の理由から渡航を辞退した。さらに、研究棟の耐震改修工事のため、二年連続して個人研究室を持つことができず、大型資料の購入を見合わせざるをえなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
単著刊行に向けた最終作業として、米国議会図書館、公文書館、および合衆国陸軍資料センター(フォート・ベルヴォワ基地)での資料調査を、夏期と冬期に行うとともに、戦時プロパガンダに関する必要書類をマイクロフィルムで購入する。これらの調査旅費及び資料購入費用に主に充てる予定である。
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