本プロジェクト研究成果は、『アトミック・メロドラマーー冷戦アメリカのドラマトゥルギー』(彩流社、2016年4月)として刊行した。同書はネットワーク文化論の立場から冷戦期アメリカを論じるものであり、合衆国文化のみならず、アメリカ文化の冷戦期における海外輸出、そして日本やアメリカにおける情動としての「アメリカ」を論じる。 日本の戦争記録画がたどった戦後の運命を解明したことも本研究の重要な成果の一つである。日本の戦争記録画を戦後直ちに収集した米従軍画家たちは、冷戦期には反核反戦の美術家として迫害を受ける。戦争記録画の運命は、大戦と冷戦のあいだの極めて短いあいだに流通した芸術観のネットワークを物語る。
|